遺品整理は品物の整理を通して故人様の思い出と向き合い、ご自身の気持ちを整理する大切な作業です。当然、作業をサポートしてくれる遺品整理業者も慎重に選ぶ必要がありますが、近年では専門業者に加えて不用品回収業者のような他業種も遺品整理を承ってくれる所が増えたおかげで業者を選ぶだけで大変な労力がかかってしまいます。
そこで今回は不用品回収業者と遺品整理業者の違いを通して、正しい遺品整理業者の選び方についてご紹介しようと思います。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
理想の遺品整理とは?
遺品整理業者と不用品回収業者の違いに触れる前に、理想の遺品整理とは何かを定義しておきましょう。両者の違いを理解するのに役立つはずです。
1.作業に関する要望を叶える
先ほど述べた通り、遺品整理はご自身の気持ちをしっかりと整理する貴重な時間です。
そのため、「品物はこういった基準で仕分けてほしい」「不用になった品はどうやって取り扱ってほしいか」など作業に対する自身の要望を理解したうえで全て実現させるべきです。
2.負担が最小限
遺品整理は心や思い出といったデリケートなものを取り扱う作業のため、じっくりと時間をかけて行いたいものですが、相続や退去日などある種のタイムリミットに追われて落ち着いて作業できなくなるケースもあります。
遺品整理の対象になるのは故人様が所有していた持ち物全てです。それだけ大量の品を急いで片づけるというのは、肉体的な負担はもちろん、後々になって後悔が残るなど精神的な負担も大きいです。そのような負担を軽減するために、自身に代わって作業を迅速に行ってくれる業者の需要が高まるのも当然といったところでしょうか。
3.故人様を思うこと
以上2つは自分のための条件ですが、遺品整理の真の目的は故人様を偲ぶことです。
遺品の一つひとつには故人様の大切な思い出が詰まっています。その思い出に直接触れて故人様を思うこと、例え不用な品であっても供養や再販などを駆使して単なる廃棄処分を行わないなど、品物の取り扱いには特に配慮する必要があります。
遺品整理業者と不用品回収業者それぞれの違い
続いては「遺品整理業者」と「不用品回収業者」の2つの業者の違いを見ていきましょう。どちらも整理作業を進めるうえで役立つサポートを提供してくれる業者ですが、その作業内容には大きく2つの違いがあります。
作業対応範囲の違い
繰り返しになりますが、ご遺品は大切な方が残した貴重な品です。仕分け段階から回収後の対応まで取り扱い方法には十分に配慮する必要があります。
遺品整理業者は依頼人のご要望に合わせて丁寧に仕分けを行ってくれるうえ、専門業者ならではのコネクションを駆使した供養の後、品物に合わせて適切に処分(この場合は廃棄だけではなく再販などの再利用の意味も含む)を行ってくれるなど品物に込められた思い出と持ち主に配慮し、こちらの要望に合わせて物理面・精神面の両方に寄り添った作業を行ってくれます。
対して不用品回収業者は遺品整理業を手がけるうえで品物の取り扱いや適切な作業方法を体得したうえで作業を行ってくれますが、供養は事前に済ませておく必要があったりとこちらの要望を受け付けてくれないこともあります。
これは業者の良し悪しというよりは対応範囲の違いに原因があるのです。餅は餅屋というように、専門業者とあくまでオプションとして遺品整理を行っている不用品回収業者にはどうしても対応範囲に差が出てしまいます。
品物に対する認識の違い
遺品は大切な方が所有していた品。そこには金銭面では測れない価値が存在します。試用期間・研修段階からその考えのもとに作業して技術を体得してきた遺品整理業者と不用品回収業務の延長として作業を行ってきた不用品回収業者ではどうしても品物に対する認識にズレが発生し、結果として作業に差が出てしまいます。
不用品回収業者も遺品整理業者もそれぞれ似て非なる整理作業の専門家です。それぞれの特徴を理解し、ご自身のご要望と照らし合わせることでよりよい整理作業が実現します。
遺品整理業者に依頼できること
遺品整理業者と不用品回収業者の違いには「作業対応範囲の違い」があると先ほど述べましたが、この章では遺品整理業者のみが行える作業について紹介します。
特殊清掃
近年問題となっている孤独死は遺体の発見が遅れると害虫や異臭の発生、遺体の腐敗に伴うウイルスの発生により身体的・精神的にも足を踏み入れられない場所になってしまいます。そのため、専門家による消臭・除菌が必要になるのです。これらの作業をまとめて特殊清掃と呼びます。
遺品整理業者は特殊清掃業者と提携していることが多く(自社内で専門スタッフを雇っている場合もある)、整理作業に入る前に特殊清掃も承ってくれるところが多いです。そもそも素人では手が出せない分野のため、遺品整理作業と一緒に依頼できるのは便利です。
重要書類の捜索と各種手続き
遺品整理では故人様の持ち物全てが整理の対象になります。これには日用品に加えて所有していた権利なども含まれます。加えて、整理と並行して相続や行政手続きなども進める必要がある事を考えると、遺品整理作業の忙しさが理解できるかと思います。
上記の手続きに加えて整理に必要な全ての作業をスタッフが行ってくれるのが遺品整理業者に依頼するメリットの一つです。手続きに必要な重要書類の捜索から各機関への手続き方法のアドバイスまで行ってくれます。
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遺品整理業者の選び方
続いては遺品整理業者の選び方をご紹介します。
料金システムの確認
見積もりで出してもらえる金額に「追加料金」と称して料金を上乗せし、多額の料金請求を行う悪徳業者も少ないながら存在しています。
そのような料金面でのトラブルを避けるために業者ごとの料金システムを把握してから見積もりを取ることをおすすめします。「追加料金なし」「仕分けから回収後の供養までまとめてパック料金」などご自身の要望に合わせて業者を比較していきましょう。このときのポイントとして、自分の行ってほしい作業をしっかりと理解しておくことが大切です。時間と予算の節約につながります。
見積書の確認
目当ての業者が見つかったら見積もりを依頼しましょう。この際には見積書に注目です。見積書からわかることは金額だけではありません。追加料金が発生する条件、料金の内訳など、他社と比較するためのさまざまな情報を得るための重要な資料になるのです。
その逆に、見積書に料金の内訳が書かれていない場合は要注意です。料金の水増しや通知されていない追加料金の発生などトラブルにつながる可能性があります。ただし、騙すことが目的の悪徳業者だけではなく、単に時間短縮で省略されているケースもありますので疑問点があれば詳しく質問してみることをおすすめします。
相見積もりを取る
当然ながら、どこの業者も料金が均一というわけではありません。自分が目を付けた業者よりも安く対応してくれる業者もあるかもしれません。……とは言ってもこだわりすぎても仕方がないので「料金」「サービス面」「スタッフの対応」など自分が重視したいポイントをもとに大体3~4社くらいから相見積もりを取ることをおすすめします。
料金をお得にするための遺品整理業者の選び方
ここまでは理想の遺品整理を実現するための方法を紹介してきましたが、いざ依頼という行動を起こす際にはやはり料金面が気がかりな方も多いのではないでしょうか。最後は料金をお得にするための方法をご紹介します。
相見積もりのコツ
料金面で損をしないための方法は見積もりに気を配ることです。当然相見積もりにも力を入れる必要があります。
相見積もりのコツは自分が重視したいポイントを絞ることだと前述しましたが、作業料金削減のためにもう一つ付け加えて、相見積もりであることを業者に伝えることをおすすめします。他社の見積もり額を参考に、気持ちだけ値引きを行ってくれることがあるからです。
しかし、単に値引き交渉のためだけで伝えるのではなく、時間を割いて見積もりを行ってくれる業者スタッフへの礼儀を忘れないように気を付けてください。
出来ることは自分で
遺品整理における作業料金は、大まかに「部屋の間取り」「作業人数」「作業時間」の3つに「オプション料金」を加えて算出されます。
ここで注目してもらいたいのが「オプション料金」です。これは不用品の回収や車両の処分手続きの代行など、整理には直接関係しない面倒な作業をスタッフに依頼することで発生する料金のことです。このオプション料金は、出来る作業は自分で行っておくことで削減することが出来るので、結果として作業料金の削減に繋げられます。先ほどの例で言うと不用品の処分はご自身で処理場に持ち込んだ方が安くつく場合が多いですし、廃車手続きも時間さえあれば自分で行える作業です。
手間と引き換えに作業料金を削減できるため、時間と気力に余裕があればおすすめです。
まとめ
大切な遺品を整理するためには、ご自身がどのような作業を望んでいるのかをしっかりと把握したうえで依頼する業者を選ぶ必要があります。そのためには数社から相見積もりを行い、見積書をしっかりと吟味してご自身の理想を叶えてくれる業者を選ぶことが大切。
「料金」「サービス面」「スタッフの対応」などご自身の要望と照らし合わせながら、じっくりと探してみてください。