遺品整理で手元に残す物を仕分けた後は、日用品、家具、家電など大量の不用品を処分しなければいけません。
当然のことながら、ゴミとして排出することが一番簡単な処分方法です。
しかし、リサイクルを意識した遺品整理を行えば処分費用を抑えられるだけでなく、ゴミを削減し環境保護にも貢献することができます。
今回は遺品をリサイクルという形で片付ける方法をご紹介いたします。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
リサイクルできる遺品とリサイクル方法をわかりやすく解説
遺品の中でリサイクルできるのは衣類・紙類・小型家電・家電4品目・家具・自転車などです。
それぞれのリサイクル方法をわかりやすく解説いたします。
衣類は寄付や資源リサイクルができる
回収された衣類は海外ボランティアに寄付されるほか、粉砕してから繊維を資源として再利用します。
自治体の資源回収に出す |
資源としてリサイクルされる |
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NPO法人や団体へ寄付 |
貧困、紛争、自然災害などの事情で服を必要としている人たちに送られる 汚れているものや使用済みの下着など寄付できない物もある |
販売店の回収ボックスに出す |
ユニクロ、ジーユー、無印良品、ZARA、ワコールなどでは自社製品のリサイクル回収を実施している |
漫画、雑誌などの紙類は再生紙になる
古紙は製紙工場へ運ばれ、新聞やトイレットペーパー、段ボールなどに加工されます。
ビニールコートなどで加工された本、写真はリサイクルできませんので事前に分解・分別しておきましょう。
自治体の資源回収に出す |
資源としてリサイクルされる |
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集団回収に出す |
地域の団体(町内会、子供会など)が再生資源を集め回収業者へ引き渡す |
新聞社、新聞販売店回収 |
購読者からたまった新聞を定期的に回収する 行われていない地域もある |
拠点回収 |
公共施設やスーパーの店頭に古紙回収ボックスを設置している スーパーなどでは排出した古紙の重さに応じてポイントがたまり買い物に利用できるところもある |
スマートフォン、パソコン、その他小型家電は積極的なリサイクルが推奨されている
スマートフォンやパソコン、デジタルカメラなどの小型家電には、希少で有用な金属が含まれているため積極的に回収が行われています。
個人情報の漏洩を防ぐため本体を一度物理的に破壊してから電子材料などに再利用されます。
※万一のことを考え、処分前にデータは消去しておきましょう。
自治体の回収ボックスに入れる |
区役所などに回収ボックスが設置されている |
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メーカーの引き取り |
「PCリサイクルマーク」がついているパソコンやタブレットはメーカーが無料で引き取ってくれる マークがないものでもパソコン3R推進協会に依頼し、リサイクル料金を支払えば回収してもらえる |
小型家電リサイクル法の認定業者へ回収を依頼 |
環境省・経済産業省から認定を受けた信頼できる業者が回収してくれる |
キャリアショップでの回収 |
ドコモ、au、ソフトバンクではキャリアやメーカーを問わず携帯電話・スマートフォンの回収を行っている 無料で回収してくれるうえにACアダプタや電池パックなどの付属品も引き取ってもらえる |
家電4品目はリサイクルが義務付けられている
家電リサイクル法により、家電4品目は収集許可証を持った業者が回収し、部品をリサイクルします。
処分には家電リサイクル料がかかります。
※家電4品目……エアコン、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機(衣類乾燥機)
家電量販店への持ち込み |
購入したお店に持ち込めば引き取ってもらえる リサイクル料の他に収集・運搬費がかかる |
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指定引き取り場所への持ち込み |
家電リサイクル券に記入、リサイクル料の支払いをして持ち込む |
自治体へ依頼 |
組合や協力店と連携して回収対応してくれる自治体もある |
家具は再販される他、木材や金属が再利用される
家具は修繕やリメイクを施されて再販される他、木材の場合はリサイクル原料に加工、金属の場合は資源リサイクルされます。
自治体の粗大ゴミ収集に出す |
状態の良い家具をリサイクル品として販売している自治体もある |
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家具の販売店、メーカーに引き取ってもらう |
買取または下取りしてくれるところもある |
自転車は寄付または鉄資源として再利用される
修理されリサイクル自転車として寄付、もしくは鉄資源として再利用されます。
自治体の廃品回収に出す |
決められた日時に回収場所へ出す |
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ゴミ処分センターへ持ち込む |
各自治体のルールに則って搬入する |
自転車買取専門店で売却する |
有名ブランドや高級な自転車なら売却できる可能性がある |
リサイクルできない物は可燃ゴミとして処分する
衛生上の問題や再加工不能などの理由からリサイクルできない物もあります。
以下の物は可燃ゴミとして処分しましょう。
・食品の汚れが付いた紙類 ・紙おむつ、生理用品、ペット用トイレシーツ ・シール、粘着テープ ・不織布 |
*関連サイト
3Rとは(リデュース・リユース・リサイクル推進協議会(3R推進協議会))
リサイクルショップならリサイクルしながら処分費用を削減
まだ使える遺品はリサイクルショップに売却すれば、リサイクルできると同時に処分費用も抑えられます。
ただし高価なブランド品や最新の家電でなければ高値で買い取られることは少ないと心得ておきましょう。
遺品は買取価格がつかないことが多い
買取金を貰って遺品を処分できるリサイクルショップの利用はお得なリサイクル方法です。
しかし、実際のところ買い取ってもらえる遺品は少ないです。
例えば、一度使用した食器、タオル、寝具などは衛生上の問題から買い取りされません。
家電は製造から5年以上、人気商品でも10年以上経過したものには値段が付かないことがほとんどです。
買取品と一緒に不用品を引き取ってくれるところもありますが、その場合は処分費用を請求されるのが一般的です。
買取は収入を得るためではなく、不要な物を必要としている人に譲るという感覚で利用しましょう。
リサイクルショップは不用品回収業者ではありませんので、持ち込まれた不用品をすべて引き取ってくれるわけではありません。
遺品をなるべく高値で売りたい人はフリマアプリを利用しよう
フリマアプリなら自分で値段を付けられるので、リサイクルショップを利用するより高値で売却できることがあります。
しかし、梱包や配送手続きなどの手間がかかるうえ、いつ売れるかはわかりません。
遺品を長期間保管するスペースの確保や、商品価値を下げないための定期的なお手入れも不可欠です。
加えて注意すべきは、遺品だということを承知で購入してくれる人を探さなければいけないという点です。
売却後に遺品だとわかり返品になるなど、購入者側とのトラブルになる恐れもあります。
トラブル時にはアプリの運営局が対応してくれることが多いですが、返金・返品の手続きは自力で行わなければいけません。
購入者とのやり取りは、丁寧かつ誠実な対応を心掛けましょう。
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現状対応できない地域も一部ございます。
詳しくはお問い合わせください。
多種多様な遺品をリサイクルしたい場合は業者依頼がおすすめ
遺品の種類や数が多い、遺品整理など他の悩みも一緒に解決したいといった場合なら、業者への依頼を検討しましょう。
遺品のリサイクルや回収を行う業者には「不用品回収業者」と「遺品整理業者」があります。
それぞれの特徴や違いをわかりやすく解説しますので、比較して自分の要望に合う業者を選んでください。
不用品回収業者は迅速な回収作業が得意
多様な品目の不用品が混在していても分別要らずでまとめて引き取ってくれます。
搬出から対応してくれるので、手放す品が多い場合や重たい大型家具・家電を処分したいときに便利です。
ただし、同じ不用品回収業者でも積極的にリサイクルを行っている業者とそうでない業者があります。
遺品をリサイクルしたいのであれば、リサイクル活動に熱心な業者を選ぶことが大切です。
また、不用品回収業者は回収品をあくまでも不用品・処分品として扱うため、遺品の丁寧な扱いは期待しないほうが良いでしょう。
遺品整理業者は丁寧かつ行き届いたサポートが心強い
遺品の供養や必要書類の捜索など、故人と遺族に寄り添った遺品整理をしてくれます。
残す品、リサイクルする品、処分する品もすべて遺品として丁寧に扱ってくれるため遺族にとっては安心です。
大型家具・家電をはじめとした遺品の搬出・回収はもちろん、リサイクルや買取を行っている業者もあります。
中には、ハウスクリーニングや特殊清掃、リフォーム工事などに対応してくれる業者まであります。
遺品整理時の困り事をすべて任せられるのが遺品整理業者の強みなのです。
たくさんの遺品を迅速かつ丁寧に扱いリサイクルするなら、遺品整理業者への依頼は最適といえます。
優良業者を選ぶ3つのポイント!契約する前に確認しよう
優良な業者選びのポイントは「複数社で相見積もりを取る」「許可や資格の有無」「実績や評判」の3つです。
不用品回収業者、遺品整理業者のどちらに依頼する場合でも、納得のいくサービスを受けるためには業者選びがとても大切です。
誤って悪徳業者へ依頼してしまった場合、法外な高額請求や大切な遺品の盗難・不法投棄などの被害に遭う可能性もあります。
複数の業者で相見積もりしよう
少なくとも3社以上で相見積もりを取り、比較検討することを推奨します。
費用相場がわかるだけでなく、足りない項目がないか、あるいは勝手に項目を追加されていないかなどが確認できます。
また、接客態度が横柄、質問に対して明確な回答が得られないなど、不誠実な業者を見極める機会にもなります。
必要な許可や有用な資格を取得しているか確認しよう
一般家庭から出る不用品の回収・運搬には「一般廃棄物収集運搬業許可」を得ていなければいけません。
また遺品や不用品の買取を行うためには「古物商許可」を取っている必要があります。
これらの許可を得ている、あるいは得ている業者と提携しているかは必ず確認しましょう。
加えて、遺品整理を頼むなら遺品整理士資格を持つスタッフが在籍している業者に依頼するのが良いでしょう。
遺品整理を行うための知識や心構え、マナーを習得しており、相続など関連する悩みもサポートしてくれます。
作業実績や評判を確認しよう
ホームページに会社概要や運営年数、作業実績などを詳細に載せている業者は信頼性が高いといえます。
自身のおかれた状況や要望と近い作業実績を確認すれば、費用や作業時間の大まかな目安にもなります。
また、実際に利用した人たちの評判も参考にしましょう。
ホームページに載っているお客様の声やGoogleマップ、SNSなどで口コミを見つけることができます。
まとめ
故人の愛用品を、必要としてくれる人にまた使ってもらいたいという気持ちは筆者にもよくわかります。
筆者も、元教師で子供好きだった祖父の遺品である書籍類は中学校の図書室へ寄付しました。
充実感とに安堵感に満たされ、寄付して良かったと心から思いました。
また、環境保全やサステナブルといった側面からも遺品のリサイクルはとても重要です。
限りある地球の資源をいかに循環して有効活用するかは、私たち皆が取り組むべき課題でもあります。
自治体の資源ゴミ回収や遺品整理業者の利用などから自分に合った方法を選択し、リサイクルを意識した遺品整理を行いましょう。
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