遠方に住んでいた家族が亡くなったので、賃貸物件から退去の手続きを行う遺族の話をよく聞きます。場所によっては退去に際しての決まりが厳しいことがありますし、事故死や孤独死といった特殊な場合はさらに複雑です。事前に知っておくと慌てず対処できますので、まずは何を知っておくべきかを見極めましょう。
このコラムでは、業者の選び方はもちろん、賃貸物件からの退去の際によくあるトラブルを避ける方法も併せてご紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
知っておくべきこと
家族が亡くなって、賃貸の契約解除や遺品整理を行うと思いますが、故人の遺族であっても相続人や賃貸の連帯保証人でなければ勝手に行うことはできません。しかし、借主が亡くなったとしても自動で解約されるわけではありませんので、連帯保証人や相続人に早急に連絡を取る必要があります。
費用の負担について
借主が亡くなると、家賃などの費用の負担を下記順に負うことになります。借主が亡くなる前に、連帯保証人の有無や連絡先の確認などは行っておく必要があります。
①連帯保証人
②連帯保証人がいないときは相続人
③相続人がいない場合は不動産物件の所有者
賃借権
賃借権とは、賃貸借契約に基づいた居住者の権利のことをいい、連帯保証人や相続人に引き継がれます。引き継がれるのは、部屋の中にある家財道具や敷金返却の請求権、毎月の家賃の支払い義務です。
まず行うこと
家族が亡くなり、退去する前に行うことをまとめました。
・賃貸借契約書の確認
・家財道具の撤去
・破損した箇所の修理
・ハウスクリーニングなどの清掃
上記のこと短期間で行わないといけません。また、公営住宅の場合は、賃貸借契約書をしっかりと確認する必要がありますので、下記を参考にしてください。
賃貸借契約書の確認
まずは賃貸借契約書の確認をしましょう。賃貸借契約書とは、賃貸物件を借りるときの契約書ですが、不動産会社、大家さん、物件によって違いますので、必ず確認が必要です。
退去について
解約の手続きを行う際に確認しましょう。退去日よりも早く退去してしまうと違約金が発生しますので、注意が必要です。
家賃について
解約のタイミングによって、最後に払う家賃の金額が変わります。
もし契約してから1年経たずに解約することになった場合、短期解約違約金が発生します。一般的に家賃1カ月分が追加されて支払うことになります。また、月の途中での解約は日割り計算での算出です。早めに解約を行わなければ無駄な家賃を払うことになりますので、気をつけましょう。
公営住宅の場合
公営住宅は国や県が貸し出しているため、民間住宅のように誰もが借りられるわけではありません。また、退去する際も民営住宅よりも厳しい条件となっています。そのため、しっかりと契約内容を確認しましょう。
退却時
公営住宅は民間住宅と違い、退去時に換気扇や網戸などの撤去を行わなければいけない場合があります。また、全ての家財道具を運び出し、きれいに清掃を行わないといけないので、やることが多く、負担も大きくなります。退去までの日数が短い場合、個人で行うのは難しいでしょう。ハウスクリーニングを行う際は貸主か借主のどちらが費用を負担するか、また業者への依頼も視野に入れて準備しておく必要があります。
敷金
場所によっては敷金からハウスクリーニング代が差し引かれて返ってくるケースもあります。しっかりと確認しておかないと、後にトラブルとなりますので、気を付けましょう。
特約
損傷があった場合、生活の中で付いた傷や変色、家具の設置跡などは貸主の負担となります。しかし、クリーニングしてもとれないものは借主が負担をすることになるため、内容をよく確認しましょう。また、原則以上の負担を借主に求めてくることもよくありますので、その点も確認が必要です。
遺品整理業者の相場について
前章で述べた通り、まず行うべきことに着手しながらも並行して遺品整理や不用品の処分方法についても考える必要があります。
遺品整理業者への依頼を検討する場合にはどのような業者に依頼すれば良いのか、ある程度指標となるものが必要です。
そこで、この章では遺品整理にかかる費用についてみていきたいと思います。
依頼する前に相場を知っておけば見積金額が高いのか、もしくは安いのかが分かります。
費用の一般的な算出方法
作業する作業員の人件費と整理した量で算出します。この算出方法では、部屋の広さや数、間取りに応じた遺品の量や作業人数、不用品を運ぶためのトラックの数で変動します。そのため、1LDKの間取りと一軒家では値段がかなり違います。
費用の相場
当社遺品整理プログレスでは、下記のような値段となります。
・1Kの場合:30,000円~
・1LDKの場合:63,000円~
・2LDKの場合:96,000円~
・4LDKの場合:195,000円~
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業者の選び方
先程も述べましたが、賃貸の場合、早く解約して退去しないと無駄にお金がかかります。物が多い場合や、早急に退去しなければいけない場合は業者に頼るほうがいいでしょう。この章では、遺品整理の業者の選び方をまとめております。
見積もりは3社以上で
ほとんどの業者が無料で見積もりをしてくれます。それを利用して、3社以上で相見積もりをとりましょう。1社だけでは提示された金額が妥当かどうか判断しにくいので、比較するためにも数社で相見積もりをとるようにしましょう。
オプションはあるか
遺品整理だけでなく、ハウスクリーニングや特殊清掃などのサービスを行っている業者があります。事故物件や孤独死などで亡くなった場合は特殊清掃が必要になりますので、より多くのオプションを提供している業者に依頼するほうがいいでしょう。
説明は丁寧か
信用できる業者を選ぶならば、スタッフの対応を確認しましょう。最初のメールや電話での返答が適当でないか、はぐらかしたり、雑な対応をしたりしていないかという点に注意しましょう。また、見積もりで訪問したスタッフの身だしなみや対応でも確認できます。任せても大丈夫か、信頼できそうかをしっかりと見極めることも遺品整理を成功に導くためには不可欠です。
資格を持っているか
遺品整理業者が作業する場合は特に資格は必要ありませんが、「遺品整理士」という資格が存在しているのをご存知でしょうか。遺品整理に関する豊富な知識や適切な整理方法を身につけている人だけが取得できる証明書で、一般社団法人 遺品整理士認定協会が発行しています。資格を取得している業者であれば安心して任せられますで、検討している業者が持っているのか確認してみましょう。
特殊清掃
前章で述べた特殊清掃を行う「特殊清掃士」についても少し触れたいと思います。
特殊清掃士というのは、事故現場特殊清掃士といい、事故現場や孤独死の現場の清掃を行う者のことをいいます。
遺体の発見が遅れやすい孤独死の現場では、3日以上発見されないと遺体から出た体液や血液が床や壁に染み込んで、一般的な家庭で行う清掃で洗い落とすことはできません。また臭いも染み付いてしまうため、特殊な薬剤が必要となります。
家で亡くなった場合に死後に発見されるまでの日数によっては特殊清掃士への依頼が必要になることもあります。特殊清掃という方法があるということも頭の片隅に留めておきましょう。
まとめ
亡くなった家族や親族が賃貸物件に住んでいたからこそのトラブルや手間などがあります。解約手続きなどを遺品整理や不用品の処分と併せて行わなければならないため、遺族はかなりの時間と体力を消費し、精神的にも披露を溜め込んでしまいます。そのような状況下でも速やかに整理ができるように事前に遺品整理業者を探していたり、賃貸借契約書の内容を認識したりしておけば、いざ対処するときに幾らか落ち着いた対応ができるのではないでしょうか。。当コラムによって業者選びのポイントを押さえることができ、心配事を一つでも減らすお手伝いができれば幸いです。