冷蔵庫、タンス、洗濯機……。故人様のお部屋に置きっぱなしにされている物はございませんか?
これらは遺品整理の業界で「残置物」と呼ばれ、所有者がいないまま放置されている家財は撤去の対象となります。ところが、これらを正しい方法で処分しなければ、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう危険性があります。そのため「撤去作業を誰がどのように行うのか?」は非常に重要になってきます。
今回は、残置物の撤去とそれにまつわるトラブルの対処法についてご紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
残置物の撤去とは?
残置物は、物件内で使われなくなったままの家財や不用品、機材などを指します。
遺品整理においては、故人様が生前に愛用されていたが、残す必要が無くなった物品を指します。そのため遺品整理で必要か否かを細かく検討された結果、不要な物はすべて残置物として扱われることになります。
賃貸・戸建て住宅問わず、残置物の撤去は遅かれ早かれ必ず行うことになるため、必要以上に物が散乱しているなと感じられたらなるべくお早めに撤去を検討されてみるのをおすすめします。
特に遺品整理の場合、ご遺族の方々と形見分けや相続などの相談も必要となるため、スケジュールに余裕を持ち行動していきましょう。
なぜ残置物が生じるのか?
そもそもなぜ残置物が生じるのでしょうか?
撤去費用がかかる
賃貸住宅で、エアコンや洗濯機などの生活家電をご自身で購入されていた場合、撤去される際に撤去費用がかかってしまいます。
その費用を免れるためにそのまま放置されていることがあるのです。もし設備として予め備え付けられていれば問題はありません。どうしてもプロの手助けが必要な物がないかを洗い出してみましょう。
残置物の種類によって処分費用が高くつく
電子レンジや冷蔵庫などの電化製品の処分に専門業者を利用される場合、それなりの費用がかかってしまうことが挙げられます。回収業者によって相場も異なるので、余程のことがない限り自分たちで何とかしよう、と思われてしまうのです。
もう使われないものなら、これ以上費用をかけたくないと思うのは当然のことです。節約志向の高いご遺族様ほど、残置をしてしまう傾向にあるといえます。
分別ができていない
故人様が亡くなられた悲しみで遺品整理に手が付かないことや、そもそも何から手をつけたら良いかが分からず、分別が面倒に感じてしまうことなどが主な原因です。もちろんご自身でできるに越したことはありませんが、ノウハウが無ければ途方もなく大変な作業になります。
どれだけ大量の残置物も、それに詳しい業者に頼むのが最も手っ取り早いです。業者利用のメリットについては、次章以降で詳しく解説いたします。
残置物が生じるのはある意味仕方のないことですが、故人様が喜ばれるかどうかを考えてみれば、残置物の撤去が必要かどうか分かるでしょう。
残置物により生じるトラブル
では、残置物が存在するとどのようなトラブルが生じるのでしょうか?
残置物の故障
多くの場合、残置物の故障がトラブルとなります。新しい入居者とオーナーとの間で賃貸契約を結んだ際に、残置物についての丁寧な説明がされていないことや、残置物の取扱いに関して明示されていないことでトラブルに発展する可能性があります。初期設備ではないことを理由に、オーナーが修理を断るなど、意見の衝突が予想されます。
また、もし破損・故障が生じた場合は、オーナーや入居者には基本的に修繕義務がありません。残置物の所有権がオーナーにある場合は、入居者とともに修繕義務を負うケースもあります。
勝手に処分される可能性がある
新しい入居者に残置物を勝手に処分されることがあります。もしオーナーや管理会社、所有者の許可なく勝手に処分されると、損害賠償の請求が行われることになります。こうした残置物はオーナーがその存在を把握していないこともあるため、オーナーや管理会社に状況を逐一連絡してみましょう。
実は初期設備ではなかった
これはエアコンに多い事例ですが、備え付けのものが初期設備ではなく残置物であったと契約後に判明するケースです。オーナーや管理会社から何の説明もないまま、内見や契約を済ませてしまうことで、思わぬトラブルに発展する可能性があります。大抵は説明がありますが、残置物かどうかを念のため自ら確認するほうが良いでしょう。
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残置物トラブルの対処法
先程述べたような残置物のトラブルは、起きてからでは遅いと思えるくらい面倒なものです。ただ「残置物をそもそもためこまない」ことが一番良いものの、それが難しいからこそ「残置物をできるだけ早く撤去する」ことをおすすめします。本章では、残置物をできるだけ早く撤去できる方法をご紹介します。
残置物の撤去は「誰がそれを行うのか」がポイントになります。
身内で行う
ご遺族の方々だけで残置物を撤去することももちろん可能です。実際、金銭的メリットがかなり出てくる方法なので、まずは自分たちで、と行動される方は多いです。ちなみに残置物の処分費用は、処分品の量により立方メートル単位で計算されるので、処分品の量を減らせば減らすほど処分費用を大幅に削減することができます。
業者に依頼する
「身内で行うには体力的・精神的負担が大きい」「今は忙しく、残置物どころじゃない」そのようなお悩みをお持ちの方は、業者へ依頼するのが手っ取り早いです。業者を利用すると想定外に高額な費用がかかってしまうことがよくあるので、必ず数社から相見積もりを取るようにしてください。
業者の値段が跳ね上がるのは、先程述べた処分量が多くなるためです。残置物とみなされるものは全て計算に含まれてしまうので、ご自身でできる範囲で品数は減らしておきましょう。タンスや家電など大きな物の整理は難しいが、日用品の小物なら整理出来るなど、ご自身のキャパシティを超えない範囲で構いません。
残置物撤去業者を利用するメリット
残置物撤去の実績がある
業者はその道の専門家ですので、当然残置物撤去の経験・実績も豊富です。スムーズに・丁寧に残置物を撤去するノウハウに長けておりますので、金銭的ハードルさえ乗り越えればあとは安心して任せることができます。
ただし虚偽の実績をうたっている可能性もあるため、会社のHPで作業実績の具体的な記載や実際に依頼されたお客様の声が掲載されている会社を数社ピックアップしましょう。
立ち会い不要で撤去ができる
「大切な家族が亡くなり、しばらくは心をゆっくり落ち着かせたい」「忙しくて現地へ向かうのが難しい」という方向けに、立ち会い不要を打ち出す業者は増えております。電話やメール1本で作業の依頼から見積もりをやり取りできる業者があれば、ご自身の時間にゆとりも持てて安心ではないでしょうか。
ただし「何日経っても見積もりが送られてこない」「メールを送ったのに返信が極端に遅い」などがあれば、サービスに問題があるかもしれないため注意しましょう。
まとめ
残置物の撤去は、遺品整理の中でも特に頭を悩ませるご遺族が多い作業です。それを誰がどのように行うかで、納得のいく形で作業が完了できるかが決まってくることがお分かりいただければ幸いです。
故人様が大切にされてきたものが、故人様に喜ぶ形で引き継がれたり、適切に処理されたりすることもまた、有意義な遺品整理には必要不可欠なのです。当記事を参考に、ぜひ安心安全な撤去作業に活かしてくださいませ。