故人との思い出を振り返りながら行う遺品整理ですが、故人が賃貸住宅に住んでいた場合は時間も限られ、遺産相続なども関わってくるため、できるだけ効率良く進めたいですよね。実は、遺品整理は引越しの知識を応用することができるのです。
このコラムでは遺品整理を円滑に行うための「仕分け方法」や「使える引越しのテクニック」「注意すべきこと」などを詳しくご紹介いたします。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
引越しと遺品整理の共通点と相違点
「遺品整理」と聞くと「何から手を付けたらいいのか分からない」と思われる方も多いでしょう。しかし実は引越しと共通した作業も多く、引越しを経験したことがある人なら要領良く行えるかもしれません。
この章では引越しと遺品整理の共通点や相違点についてご紹介します。
共通点
仕分け
引越しの際には、転居先に「持って行くもの」「処分するもの」「買取に出すもの」という分け方で仕分けをするのが効率的です。遺品整理の場合は、形見分けとして「残すもの」、不用品として「処分するもの」、そして「買取に出すもの」という分け方で仕分けると良いでしょう。
荷物の梱包
引越しの際には、形状や壊れやすさなどを考慮して荷物を梱包していきます。遺品整理の場合でも同様に、形見分けとして引き取るものを運び出すために梱包する必要があります。
不用品の処分
引越しでは買い換えるものや、使わなくなったものを「この機会に」と処分したり買取に出したりします。遺品整理の場合にも不要なものは処分、または買取に出しましょう。
相違点
大きな相違点としては、引越しとは違い遺品整理をする場合には、荷物の持ち主がいないということです。遺言書やエンディングノートがあればまだ良いのですが、持ち主がいないと「どこに何があるのか」「形見分けはどのようにするべきか」など不明な点が多いため、探索や遺族間での話し合いにも時間がかかってしまいます。
葬儀の準備、住まいが賃貸の場合なら退去手続きを進めるなど、同時進行での作業も必要になります。その他にもクレジットカードや会員制の退会手続き、携帯電話の解約手続きなどがあります。また故人の発見が遅れてしまった場合には特殊清掃を行う必要も出てきます。遺品整理の場合には様々な手続きが重なることが、引越しとは違い大変なところです。
使える引越しのテクニック
遺品整理を行う際にも役立つ、引越しのテクニックをご紹介します。
作業に必要なものをリストアップする
作業の際に「持っておけば良かった」「あったら便利」と感じるものは意外とあります。故人宅にもあるかもしれませんが、なかった場合に改めて用意するのは手間になります。事前にリストアップし、用意しておきましょう。
・ガムテープ・・・荷物の梱包。
・段ボール・・・運び出す荷物の大きさや形状に合わせられるよう大小サイズ違いで用意しておくと便利です。
・油性マジック・・・箱や袋などに何が入っているか記入したり、運ぶ際の注意書きなどを書きます。黒・赤2色あるとかき分けできておすすめです。
・緩衝材・・・新聞紙やプチプチなど。食器などの割れ物を運び出す際の緩衝材に。
・養生テープ・・・荷物を運び出す際のぶつけ防止に緩衝材を壁に貼るのに使用します。養生テープなら剝がしても跡が付きません。
・軍手・・・怪我の予防に。
・ビニール紐・・・雑誌や書籍をまとめるのに便利です。
・ゴミ袋・・・不要な衣類をまとめる、掃除をした際のゴミをまとめるなどに使います。
・その他・・・はさみ、カッター、輪ゴムなど
ジャンル別に分ける
引越しの際には使う部屋や場所ごとにジャンル分けして梱包すると、転居先で荷解きをして片付けるのに便利ですが、遺品整理の場合なら引き取り先の家族や人ごとに分けると良いでしょう。
効率の良い仕分け方法
故人宅が所有物件の場合には遺品整理に時間をかけても良いかもしれませんが、賃貸だった場合は早めに終わらせなければいつまでも家賃が発生してしまいます。
この章では遺品整理をできる限り短時間で効率良く進めるための方法をお伝えします。
探さなければいけないものをリストアップする
契約書、保険関係、通帳、証券、貴重品など、遺産相続に関わるものは必ず見つけなければいけません。見落としてしまわないようこれらをリストアップしておきましょう。
写真・動画の整理は後回し
写真や動画など思い出が詰まっているものは、見始めてしまうとついつい時間が経ってしまいます。じっくり見てから整理したい気持ちは分かりますが一旦保留にし、遺品整理が終わってから時間をかけて行いましょう。今は写真や動画を全てデータ化し、親族間で共有することもできます。かさばることもなく保存できるのでおすすめです。
処分するか迷うものは一旦保留
作業中に処分するか迷ってしまうものも出てくるでしょう。その際は一旦保留にし、それらをまとめておきましょう。「あれもこれも」と保留にするのは良くありませんが、どうしても迷ってしまうものに時間をかけていては遺品整理作業も進みません。保留したものは遺品整理が終わってから、気持ちに余裕があるときに改めて処分するかを判断しましょう。
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遺品整理で気を付けること
賃貸物件の契約確認
故人宅が賃貸物件の場合、管理会社や大家さんに連絡し、立ち退き期限や家賃契約についてなるべく早く確認しておきましょう。
相続人全員で行う
自分一人で遺品整理を行ったところ、後々相続人間でトラブルが発生したという事例もあります。必ず相続人全員で遺品整理を行いましょう。
「相続を放棄する」「形見分けは要らない」という相続人には、その旨を書面にし、日付、署名、捺印をしてもらいましょう。そうすることでトラブルを回避できますので面倒でも必ず書面化しましょう。
専門業者に任せるという選択
引越し経験があったとしても、親族を亡くした悲しみの中で遺品整理作業を進めるのは、やはり大変なことです。さらに葬儀の手配や、賃貸物件の場合では退去日が迫っていることも多く、精神的にも時間的にも余裕がないときには極めて困難といえるでしょう。そうした場合には専門の遺品整理業者に任せるというのも一つの方法です。
専門業者に任せるメリット
時間や手間がかからない
遺品整理を専門に行っている業者なら、短時間で遺品整理を終わらせてくれます。事前に「荷物をどのように分けてほしい」「探してほしいもの」などを伝えておけば、その通りに作業を進めてくれます。不用品の処分やリサイクル、買取なども併せて行ってくれるところもあり、手間が省けます。
精神的負担の軽減
専門業者に依頼することで「故人との思い出深い品を目にすると精神的に辛い」「相続人間で話し合いをしながら進めるのがストレス」など、精神的な負担を大幅に軽減することができます。
まとめ
引越しの知識が遺品整理にも応用できることがお分かりいただけたかと思います。効率良く仕分けを行い、処分や買取に出すことでスムーズに作業を進められるでしょう。とはいえ、親族を失くした悲しみの中、精神的な負担が大きすぎる場合や時間的に難しいときは遺品整理の専門業者に任せるのも賢い選択といえます。遺産相続も関わってくる遺品整理作業をトラブルなく円滑に完了できるよう、当コラムがその一助となれば幸いです。