プロの手による汚部屋の清掃の様子がテレビ番組で特集されることも増え、ゴミ屋敷問題が身近なものとして認知されるようになってきました。また少子高齢化などの影響で孤独死を迎える人が増加し、遺族の遺品整理の悩みにも対応できるようにサービスを多様化している片付け屋も増えているようです。
当コラムでは片付け屋にはどんなことを頼めるのか、また依頼するメリットなどを詳しくご紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
片付け屋とは?
「片付け屋」とはその名の通り、散らかってしまった家や物置同然の部屋の清掃を行い、不要なものを処分し、きれいに片付ける専門の業者のことです。
少子高齢化、単身世帯の増加、精神疾患やストレスの増加、地域コミュニティの希薄化から片付けができない人が増え、全国的にゴミ屋敷問題が起きています。そうした社会背景から急速に需要が高まっているサービス業です。
部屋数、住居面積、ゴミの量、そして依頼者の要望に沿って、清掃員が迅速に片付けを行ってくれます。
片付け屋が請け負ってくれること
片付け屋が請け負ってくれる作業は主に「片付け・整理・整頓」「清掃・ハウスクリーニング」「不用品の回収・処分」「部屋を清潔な状態で維持するためのアドバイス」の4つです。それぞれを具体的に説明します。
片付け・整理・整頓
衣類や本、その他の不要なものとそうでない荷物の選別・仕分け、効率的な整理・整頓・収納を行ってくれます。
清掃・ハウスクリーニング
溜まった汚れやホコリを取り除き、状況によって発生してしまった害虫の駆除などもしてくれます。庭の草刈りや木の伐採、庭石の移動や処分なども依頼できます。
不用品の回収・処分
要らないものを回収し、それぞれを法令に従った適切な方法で処分してくれます。例えば、エアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機は家電リサイクル法に則った方法で処分しなければいけません。その他の粗大ゴミも、ものによっては自治体で回収できない場合がありますが、片付け屋の多くは廃棄物を扱う許可を得ているので、そのようなものも回収してくれます。
部屋を清潔な状態で維持するためのアドバイス
依頼者から聞き取りを行うことで、散らかってしまったそもそもの原因を見極め、もう散らかすことがないよう具体的なアドバイスをしてくれます。中には「整理収納アドバイザー」といった資格を持つスタッフが在籍する業者もあるので、専門的なアドバイスがほしい場合は有資格者がいるか確認しておくと良いでしょう。
これら4つの作業は一般的な片付け屋なら基本的にどこも対応してくれます。業者によっては、さらに「消臭・防臭作業」「滅菌・防菌作業」「不用品の買取」「リフォーム」「引越し」など、同時に必要になることが多い作業にも対応してくれるところもあります。自身の求める内容に合ったところを選べば、いくつかの業者に並行して依頼する手間も省け、費用の節約にもなるのでおすすめです。
遺品整理は頼める?
一人暮らしの高齢者の増加や新型コロナウイルスの蔓延などもあり、残念ながら孤独死を迎える人の数も増加傾向にあります。生前から終活を行う人も徐々に増えてきていますが、多くの場合は遺品がそのまま放置されてしまいます。そうしたことから遺品整理の依頼も増加傾向にあります。
では片付け屋には遺品整理を依頼できるのでしょうか?
結論からいうと、依頼できる片付け屋もあります。
遺品整理と片付けでは共通している作業が多く、遺品の選別・整理、不用品の回収・処分、ハウスクリーニングなどが該当します。しかし、遺品整理ならではの作業もあります。例えば、相続関係の書類や貴重品の探索、不動産整理などです。発見が遅れた孤独死の現場の場合には特殊清掃が必要になることもあります。遺品整理の専門業者では遺品整理士の資格を有するスタッフが在籍していたり、事件現場特殊清掃士が在籍していることもあります。これらを考えると、遺品整理を依頼するなら一般的な片付け屋よりも遺品整理の専門業者に頼む、あるいは遺品整理も専門として行っている片付け屋に依頼するのが良いでしょう。
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専門家に任せるメリット
一昔前までは、お金を払って人に片付けを依頼するという概念があまりなく、今でも、散らかった部屋に他人を入れることに抵抗を感じる人も少なくないでしょう。しかしそれでも片付けを依頼する人が増えているのには、たくさんのメリットがあるからです。この章では片付けを専門家に任せるメリットとデメリットをご紹介します。
メリット
時間の節約
ゴミ屋敷同然とまではいかなくても、かなり散らかった部屋を自分一人で片付けるのは多くの時間を要します。そもそも忙しかったり、まとまった時間が取れずに部屋を散らかしてしまった人は、片付けに使う時間を捻出すること自体が困難でしょう。様々なノウハウを持った専門家に任せることで、多くの場合、数時間から1日程度で全て片付けが完了します。場合によっては依頼者が立ち会わなくても作業を進めてくれたり、深夜や早朝などの時間帯に行ってくれるところもあります。
労力の節約
不用品の選別、運び出し、処分、掃除など、片付けには大きな労力がかかり、高齢者や体力のない人にとっては大変な作業です。片付けの専門家はこれらを迅速に効率良く行ってくれます。「片付けたいものが多い」「大型のものを処分したい」という場合にぴったりです。
手間の節約
第2章でも少し触れましたが、不用品はその種類によって処分方法が自治体ごとや法令で決まっています。粗大ゴミやリサイクルが必要なものなど、それぞれを手続きするのは手間がかかります。専門家に任せることでこれらを全て一括して引き取ってもらえ、適切に処分してもらえます。
デメリット
とても便利な片付けの専門業者ですが、あえてデメリットを挙げるとすれば「費用がかかる」という点でしょう。一般的にゴミの量や片付ける部屋の数・広さによって費用が変わってくるので、ゴミ屋敷状態であればそれなりに費用もかさんでしまいます。
このデメリットを少しでも解消するなら「不用品の買取」も行ってくれる業者に依頼することです。思わぬ品が高価買取されることもあり、片付け費用から差し引いてもらえればお得です。
相場はどれくらい?
部屋の広さや数、回収・処分する不用品の量、庭作業の有無、作業人数、作業時間などによってかかる費用は変わってきますが、ここでは一般的な片付け業者の費用相場の目安をご紹介します。
1R・1K(作業員:1~2名) 30,000円~
1DK(作業員:2~3名) 50,000円~
1LDK(作業員:2~4名) 70,000円~
2DK(作業員:2~5名) 100,000円~
2LDK(作業員:3~6名) 120,000円~
3DK(作業員:3~7名) 150,000円~
3LDK(作業員:4~8名) 170,000円~
4LDK以上(作業員:4~10名) 220,000円~
料金には人件費や車両費、回収運搬費、廃棄物処理費などが含まれていることが多いですが、業者によって違う場合もあるので、事前に確認しましょう。
依頼後にトラブルにならないためにも、事前に細かな要望を伝え、それに沿った見積もりを出してもらうこと、そして、できれば何社かで相見積もりをし、比較してから依頼する業者を決めるようにしましょう。
まとめ
自宅が散らかって片付けが必要だけれど「忙しくて時間がない人」や「片付ける体力がない人」「片付け方が分からない人」など多くの人にとって、片付け屋のサービスはとても魅力的なものといえるでしょう。また遺品整理や引越し、リフォームなども行いたい人は、そうしたサービスも片付けと一緒に専門として請け負ってくれる業者を選ぶことを推奨します。
費用はかかりますが、そのままでは不衛生で身体的にも精神的にも良くありませんし、事故や火災の危険もあります。多くのメリットを考えれば、思い切って頼んでみるのも良いかもしれません。