日本では少子高齢化が進み、高齢者の割合が増えています。割合が増えると、年金問題や経済衰退など様々な社会問題が発生します。そんな社会問題の一つが「孤独死」ではないでしょうか。孤独死とは読んで字のごとく、一人暮らしの方がひっそりと孤独に死んでしまうことを指します。最近ニュースなどでよく耳にする方も増えているのではないでしょうか。
そして最近ではそんな孤独死に似た言葉「孤立死」も、良く使われているのをご存じでしょうか。今回はそんな孤立死について解説していきます。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
孤独死と孤立死の違い
まず初めに、孤独死と孤立死は何が違うのでしょうか。
先に結論を申し上げると、社会的に孤立していたかどうかがポイントです。
孤独死とは
孤独死とは皆さんが想像しているであろう、「高齢者が一室でひっそりとなくなる」描写そのものです。しかし、次の場合も孤独死と呼ばれます。
「人付き合いの多い一人暮らしの高齢者が亡くなった時が、深夜や早朝などのため孤独であった」こんな時も孤独死と呼ばれます。
このように、孤独死は死んだときに孤独であったかどうかが焦点となります。
孤立死とは
一方、孤立死は先に結論を申し上げた通り、社会的に孤立しているかどうかが焦点となります。つまり、誰にも助けを求められず、また近隣住民や家族との接点もないため、自分の存在を気にかけてくれる人がいない状態です。
そのような状態で亡くなってしまうと、当然発見が遅れ、悲惨な状況となってしまいます。
つまり、ニュースなどで白骨化などと言われている孤独死は、孤立死である可能性が非常に高いのです。
孤立死すると
孤立死は先述しましたが、発見が遅れることが多いため、亡くなって数日以上経過してしまい、ご遺体が腐敗したり害虫がわいたりと悲惨なケースになることが大半です。そのため、亡くなる方も、発見した方も、そして、亡くなった方の親族の方も不幸になります。
また、孤立死は発見が遅れることで、死臭や腐敗により住んでいる家や部屋に大きなダメージを与えてしまいます。そのため、賃貸の場合であれば親族の方が清掃料金や修繕費用を負担する場合もあります。
つまり、孤立死は孤独死よりも悲惨な状況を引き起こしやすいのです。
孤立死はなぜ起こる
孤立死が起こる主な原因は高齢化社会と言われていますが、それ以外にもたくさんの理由があります。
認知の低下
孤立死される方の多くは、外部からの認知が低いことが上げられます。つまり、病気やケガ、または性格的な問題から外出が減り、日常的に公園やお店などに行かなくなることで外部から存在を認知されなくなる状態です。そのような状態では、もし亡くなった際、何かおかしいと感じる方が近くにいないため、孤立死となるのです。
近所付き合い
昔はどんな場所でもお隣さんなどと呼び、近隣住民と近所付き合いがあったものですが、最近は防犯的な理由もあり、付き合いをしない方も増えてきています。そのため、マンションなどでは表札もなく隣にどんな名字の方が住んでいるのかも知らない方も多いのではないでしょうか。そういった希薄な付き合いであれば、何か異常が起こった時に気付いてもらえません。
セルフネグレクト
セルフネグレクトとは自身の生活に関心がなくなり、簡単に言うと、自暴自棄の状態になってしまうことを指します。そんな状態では、自分の病気や健康のことにも気が回らず、さらには周りと連絡を取ることもなくなります。また、セルフネグレクトになると掃除もしなくなるため、ゴミが増え、押しつぶされて亡くなっても、誰も気が付きません。
高齢化社会
そして、何度も先述していますが高齢化社会が主な原因の一つです。高齢化社会により、人口が減少し、気にかけてくれる人の存在自体が減少しています。また、近隣住民も同じ高齢者である確率が上がっているため、お互いに気にかける余裕がなく、助けあうことが出来なくなっているのです。
そして、孤立死は今までに挙げた原因が複雑に絡み合って起きています。高齢になったことで病気をし、外出しなくなり認知が減ったなどと、様々な原因が混ざりあった結果悪循環が起きるのです。
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孤立死は他人事ではない
ここまで、先の章で説明した「孤立死の原因」をすべて高齢者でイメージしてはいませんか。もちろん、孤立死は高齢者に多いことは言うまでもないのですが、これは若者にも当てはまります。
例えば、親族や友人付き合いのほとんどない一人暮らしの若者がアパートの一室で急死してしまうといった状況です。誰も気にかける人がいなければ、当然孤立死となります。
また、ネットの普及や最近のコロナの影響から、多くの方が家で美味しいものを食べたり、家で楽しく遊ぶことができるようになっています。そのため、急死してしまう可能性は低いものの、昔と比べて若者の孤立死も増えているのです。
このように、孤立死は高齢者だけのものではなく、若者にも当てはまる現象なのです。つまり、どんな方も孤立死を予防し、対策を取っていく必要があるのです。
孤立死の対策、対処法
では、この孤立死を防ぐにはどのようにしたら良いのでしょうか。
ここまでお読みくださった方ならおわかりかと思いますが、対策方法は「認知」されることです。
多くの方からの認知度を上げることが何よりも重要です。
では、認知されるためにはどうすれば良いのでしょうか。
いくつか例があるので紹介します。
家族、親族間で連絡を取り合う
家族、親族はどれだけ仲が悪くても、家族は家族です。そんな生まれ持った縁を利用するのは認知に一番有効です。定期的に連絡をしたり、年賀状など季節ごとに手紙を出し合ったりするのも良いでしょう。どれだけ仲が悪くても続けるだけで効果があります。
近隣住民
最近は、防犯上の問題からあまり付き合いができないですが、マンションやアパートであれば廊下や階段で会えば軽く会釈や挨拶をするなど、「こんな人が住んでいるのか」と認知されることは重要です。また、自分自身も周りの方の異常に気が付けるよう気を配ったり、ポストに郵便物がいっぱいになっていないか確認したりして、お互いに認知し合うことが重要です。
見守りサービスの利用
電気会社やガス会社、郵便局などはどんな家にも定期的に訪問するので、見守りサービスを実施している会社もあります。見守りサービスを使えば、検針や配達の際に、何かおかしいことがあればすぐに報告してくれます。
コミュニティに入る
学生であれば学校やクラス、サラリーマンであれば会社や部署といったコミュニティがあるように、コミュニティに所属することは否が応でも認知を上げてくれます。今自分自身がどのコミュニティにも属していない場合は、どこかに参加することを検討してみましょう。専業主婦や高齢者の方向けに趣味のサークルや習い事もたくさんあります。ぜひ多くの人と接する機会を作りましょう。
高齢者施設への入居
もし、高齢で外出が困難な場合は高齢者施設への入居を検討してみるのも良いでしょう。高齢者施設はどこか体に問題がないと入居できないイメージがあるかもしれませんが、介護認定がなくても入居できる施設も増えています。
このように認知を上げる方法を実施することが重要です。
まとめ
人間の死ぬ時は決めることができないため、完全に孤独死を防ぐことはできません。しかし、孤立死は認知さえ上げれば防ぐことができます。孤立死は本当に悲しい結末を引き起こしてしまうものです。身近な方、近隣住民、そして自分が孤立死してしまわないように常日頃から対策していきましょう。外出できなくても、電話や手紙など様々な方法を駆使すれば必ず防げますので、お互いに見守りあえる社会が作れることを望んでいます。お読みいただきありがとうございました。