遺品整理業者を選ぶ際、ホームページやSNS、口コミなど何を基準に選択していますか。
近年、業者の信用や信頼性を計るものとして、古物商などの許認可や遺品整理士などの資格が注目されています。また、「許認可がなければ違法」という声もあり、果たして何が正しいのか悩まれている方も多いのではないでしょうか。
今回はそんな遺品整理業者の許認可と資格を紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品整理業者が持つべき許認可と資格
まず初めに、遺品整理業者が持つべき許認可と資格は、主に3つの都道府県や市区町村から与えられる許認可と5つの民間資格があります。
3つの許認可
・一般廃棄物収集運搬許可
・産業廃棄物収集運搬許可
・古物商許可
5つの民間資格
・遺品整理士
・遺品供養士
・終活カウンセラー
・相続診断士
・グリーフケアアドバイザー
次の章から詳しく解説していきます。
都道府県や市区町村から与えられる3つの許認可
まずは自治体から与えられる許認可について紹介していきます。
一般廃棄物収集運搬許可
この市区町村から与えられる一般廃棄物収集運搬許可は2種類存在します。「家庭系一般廃棄物」と「事業系一般廃棄物」です。読んで字のごとく、家庭系は一般家庭の廃棄物、事業系は工場などで発生する廃棄物です。そのため、遺品整理では主に「家庭系一般廃棄物収集運搬許可」が必要となり、これらの許可を持っていなければ、家庭から廃棄物(不用品など)を持ち出し、処分することができません。ただ、この「家庭系一般廃棄物収集運搬許可」はほとんどの自治体が新規取得を受け付けておらず、多くの業者が許可を持つことができていません。
では、「ほとんどの業者は違法?」と考えてしまうかもしれません。ご安心ください、この許可には委託や連携が可能です。つまり、「家庭系一般廃棄物収集運搬許可」を持つ業者と遺品整理業者が、委託や連携を行えば回収することが可能です。
産業廃棄物収集運搬許可
この許可は都道府県知事からいただける許認可です。
産業廃棄物は一見遺品整理と関係がなさそうな気もしますが、廃油やガソリン、塗料、タイヤなど、家庭にあるものも産業廃棄物とみなされています。そのため、これらの品物を運搬する際に「産業廃棄物収集運搬許可」が必要です。
ただ、回収しない遺品整理業者もいるので回収してほしい場合のみ確認しましょう。
また、この許可は有効期限があるため、許可を持っていても有効期限切れをおこしている場合もあります。必ず確認するようにしましょう。
古物商許可
古物商許可とは簡単に言えば、買取を行うための許可です。
中には13種類の項目があり、項目ごとに買い取れる品種が決まっています。
遺品整理の現場ではほとんどのケースで買取が発生します。適正に対応してもらえるようにするため、古物商許可は必須です。
また、この「古物商許可」は「一般廃棄物収集運搬許可」のように新規受付がめったに行われない許認可ではありません。つまり、「古物商許可」を持っていない業者は、適切な運営ができていない可能性が高いと言えます。
5つの民間資格
では、次に5つの民間資格を紹介します。
民間資格ですので、保持していなくても法律違反になることはありません。
遺品整理士
一般社団法人遺品整理士認定協会が発行している民間資格です。
協会に申し込み、遺品整理士養成講座を受け、レポートを提出し、合格となれば資格を得られます。
遺品供養士
一般社団法人遺品供養カルチャー協会が発行している民間資格です。
協会に講座を申し込み、試験を受け資格を得ます。1級、2級があります。
終活カウンセラー
一般社団法人終活カウンセラー協会が発行している民間資格です。終活に関する年金や相続、保険のことを学べます。遺品整理士や遺品供養士と同じように講座を受け、資格を得ます。
相続診断士
一般社団法人相続診断協会が発行している民間資格です。遺品供養士と同じように講座を受け、試験を受けた後資格を得ます。
グリーフケアアドバイザー
一般社団法人グリーフケア協会が発行している民間資格です。グリーフケアとは悲しみに対するケアのことです。遺品整理の現場はどのような方であれ誰かが亡くなった状況です。悲しみに寄り添う方法を熟知していることを示す資格です。
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どの許認可、資格が重要?
ここまで3つの許認可と5つの民間資格を紹介してきましたが、実際何に注目すればよいの?と思われるのではないでしょうか。
そのため、資格の確認方法を紹介します。
1.一般廃棄物収集運搬許可の有無
一番重要なのは「一般廃棄物収集運搬許可」です。この許可がなければ、不用品などの運搬ができません。しかし、先の章で説明した通り、許可を取るのが困難である点と市区町村ごとで取る必要がある点から、多くの業者が所持していません。そのため、多くの業者が許可を持つ業者と委託や連携をしています。心配な場合は委託や連携をどの業者としているか確認しましょう。
上記の理由から、この資格があれば全く問題なしと判断しましょう。また、どこの地区の許認可か確認しましょう。
2.古物商許可の有無
次のポイントは「古物商許可」です。「古物商許可」がなければ買取そのものが行えません。つまり、この許認可を持たずに営業している業者は買取せずに業務を行っているか、違法かのどちらかです。また、この許可は先ほどの「一般廃棄物収集運搬許可」とは違い取得が困難ではないため、取得していないのは何かやましい点があるかもしれません。
3.残りの資格
残りの許認可と資格は遺品整理を快適にしてくれるものです。所持していなくても構いません。ただ、多くの資格を持っているということは当然、業者として遺品整理へどれくらいの熱をかけているかの指針となるはずです。これらの資格の有無は業者の熱意とも取れるので、多くの資格を持つ業者のほうが良い業者であると言えるのではないでしょうか。そのため、5つの資格のどれを所持しているか確認しましょう。
資格以外に見定める点
許認可や資格の見定めができても、安全なだけで良い業者に巡り合えないこともあります。
最後に許認可や資格以外に見極める点を紹介します。
宣伝媒体
宣伝の媒体がチラシだけで、ホームページがないという業者はおすすめできません。宣伝費に金額をかけないことで安価なサービスが実現できているとしても、問い合わせまでに得られる情報が少ないのは安全性に欠けてしまいます。そのため、ホームページの有無やSNS(TwitterやInstagram)などの投稿、LINEの問い合わせなども行っているか確認しましょう。
寄り添う気持ち
遺品整理は誰かが亡くなったことで発生する作業です。淡々と作業をするのも良いですが、業者は遺された方に寄り添えなくてはいけません。つまり、作業内容だけ淡々と書いてあるホームページや不用品回収業者のサービスの一環としての遺品整理は極力避けるようにしましょう。遺品整理を本業として行っているところにお願いするのがおすすめです。
対応
これは問い合わせ後になってしまうのですが、業者の対応も確認しましょう。人と人の付き合いと同じように、業者と人にも相性があります。つまり、「評判は良く、許認可や資格があるがこの業者とは相性が悪い」ということもあります。相性が悪い場合は契約しない勇気を持ちましょう。自分に合わないことを知っておくだけで、業者の変更ができ、後悔の残る遺品整理を回避できます。
まとめ
遺品整理を進めるうえで、許認可は必ず必要という訳ではありません。ただ、委託や連携が必要になるということは必ず覚えておきましょう。
また、他の許認可や資格も取る取らないは自由ですが、業者の熱意を計るものですので、全く持たない業者への依頼はあまりおすすめできません。
この記事を活用し、安全かつ後悔の残らない遺品整理が進められることを祈っております。お読みいただきありがとうございました。