終活は身の回りの整理など、自分のためというよりは遺される方に迷惑をかけないようにする行為が多いため、おひとりさまであれば必要ないように感じてしまう方もいるのではないでしょうか。
しかし逆に、終活はおひとりさまだからこそ必要な行為です。
今回はそんなおひとりさまの終活について、終活の基本から解説します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
終活とは
終活とは自分の人生の最期に向けての活動です。
具体的な内容を紹介します。
死ぬ間際のこと(介護や医療)
介護や治療の希望は人それぞれです。そのような希望をあらかじめ意思表示できれば、不安を抱えず老後を迎えることができます。また、対応する方も本人の意思とは異なる介護や治療をしていないかと不安に思うこともなく、お互いに気持ちよく進められます。
自分が死んだ後のこと(お墓や相続、生前整理)
自分が死んだ後は、葬式やお墓、相続の問題などが発生します。葬式やお墓なども介護や医療と同じく、希望を伝えられればお互いに気持ちよく進められます。
また、事前に生前整理をしておくことで遺品整理の大きな負担を軽減できます。
死ぬ前の自分自身のこと(夢や希望)
年齢にもよりますが、今後の人生でやり残したことはないか考えることができれば、後悔の残らない人生への軌道修正ができます。
このように終活とは誰かに迷惑をかけないようにする行為である以上に、自分の今後や意思表示を伝え、希望を叶えるための活動でもあるのです。
なぜおひとりさまには終活が必要なのか
では、なぜおひとりさまに終活が必要なのでしょうか。
その理由は先ほど説明した「意思表示を伝え、希望を叶えるため」と「孤独死問題」が主な理由です。詳しく紹介します。
意思表示を伝え、希望を叶えるため
先ほど解説した通り、終活は自分の意思表示の活動でもあります。そのため、介護や医療、お墓、葬儀についての希望を明確にして、伝えておくべきところに伝えなければいけません。おひとりさまでなければ、親族が生前の過ごし方や生きざまから判断して希望に近いものを導き出せるかもしれませんが、おひとりさまであれば誰もそのような希望をくむことはできません。
また、終活は今後の自分自身のための活動でもあり、やり残したことはないか真剣に考えれば、おひとりさまでいるとどうしてもできないこと、つまり一人でできないことも出てくるはずです。一人でできないことはおひとりさまであれば友人を頼る必要などがあるため、終活の名のもと計画を立てておく必要があります。
孤独死問題
近年の少子高齢化により、一人暮らしの高齢者は年々増加の一途をたどっており、高齢者が自宅の一室でひっそりと亡くなる孤独死も増加し続けています。孤独死が起きてしまうと、基本的に遺体の発見が遅れることから、害虫や死臭など多くの問題を引き起こします。
また、周りへの悪影響よりも自分自身が孤独死になっても構わないと考える方はいないはずです。適切な方法で遺体が処理され、埋葬されたいと願っているはずです。ただ、高齢者のおひとりさまであると孤独死の危険性は非常に高く、老衰などで寝ている間に亡くなった、持病が悪化して亡くなった、物につまずいて頭を打ち亡くなったといった危険性が潜んでいるため、あらかじめ自分の意思を明確にするなどの対策が必要です。
このように、おひとりさまの終活は自分の意思表示と希望を伝えることと、孤独死問題に対処するために必要なのです。
おひとりさまの終活でするべきこと
では次に、おひとりさまの終活でするべきことを紹介します。
医療や介護の検索
おひとりさまであれば、医療や介護の方法を自分自身で一から探す必要があります。パソコンや資料などから入念に調べ、予算と照らし合わせながら決めていきます。
お墓や葬儀の検索
医療と介護と同様に、お墓や葬儀の方法も考えておきます。身寄りがいない場合は後継者を必要としない、お寺によって供養してもらえる永代供養というものの利用がおすすめです。
また、お墓や供養は事前契約が可能であるため、意思表示ではなく、事前に契約しておくのも良いでしょう。
エンディングノート、遺言書の作成
エンディングノートや遺言書は自分の意思を明確にできます。
エンディングノートと遺言書の大きな違いは法的効果があるかどうかです。遺言書にはあり、エンディングノートにはありません。そのため、財産などの分配などを記したい場合は遺言書に書きましょう。そうでないと、身寄りのない場合の財産はすべて国の物になります。
生前整理をする
生前整理は今の身の回りの物を整理するため、多少抵抗があるかもしれません。ただ、改めて今自分が持っているもののすべてを見返すことで、忘れていた気持ちや夢などを思い出すきっかけになるかもしれません。そのため、身の回りを軽くするのと並行して、自分の再発見の旅と思って進めてみると、重い気持ちにならずに済むかもしれません。
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おひとりさまの終活で使えるサービス
ただ、これらの作業だけでは足りません。なぜなら、自分の意思表示や事前契約ができても、それらを遂行するのは自分ではない誰かの力だからです。
そんな時に使えるサービスについて紹介します。
見守りサポート(安否確認)
おひとりさまで暮らす以上、孤独死を100%完全に防ぐことはできません。
見守りサポートを利用できれば、もしもの場合でもすぐに気が付いてもらえ、孤立死などの大惨事を防げます。
死後事務委任契約
人の死後は葬儀をしてお墓に入るだけではありません。今の部屋や家の解約、解体や死亡届の提出、ライフラインの解約などさまざまな事務手続きがあります。親族がいる場合は親族が進めますが、身寄りのないおひとりさまの場合は第三者を頼る必要があります。
行政書士などの中にはこれらの作業を承ってくれるサービスがあります。あらかじめ希望を伝えて、埋葬方法なども指定できます。
任意後見人制度
認知能力の衰えなどで、生きている間に正しい判断ができなくなることがあります。そのような時のために「後見人」を指定し、財産管理や、税金納付などを任せる制度があります。司法書士や法人などへの依頼や、親しい友人に依頼できます。
おひとりさまの終活の注意点
では最後に、おひとりさまの終活での注意点を紹介します。
誰かに頼る
おひとりさまは自由度が上がり、快適なように思われますが、やはり肝心な時は誰かの手を借りなければなりません。そのため、困った時はすべて一人で何とかしようとするのではなく、誰かに頼れるようにしましょう。
急いで進めない
一人でいるとペースなどがつかめず、焦りが起きてしまうことがあるかもしれません。ただ、終活は自分の意思を明確にすることや、後悔の残らない最後を過ごせるようにするための行為です。つまり急いで進めても意味はありません。落ち着いて進めましょう。
夢や希望を柔軟に修正する
おひとりさまで過ごしたい方は、最後の最後までおひとりさまで過ごしたいものだとは思いますが、自身の病気や症状などでは一人で過ごすのが困難な場合もあります。その際は自分自身の夢や希望などを起動修正し、施設への入所なども検討しましょう。柔軟に考えられる余裕と一人で最後まで暮らせない可能性も考えておくべきです。
まとめ
おひとりさまであることは多くのリスクが付きまといます。そのリスクを少しでも軽減するために、おひとりさまは終活をする必要があるのです。自分は大丈夫だからと思わずにまずは検討してみてください。
この記事で少しでもおひとりさまの終活について見識が深まりましたら幸いです。
お読みいただきありがとうございました。