遺品整理の際に親族の方を悩ませるもののひとつが、亡くなった人が生前身に着けていた衣類です。
衣類は季節に応じたものや礼服など、数が多くなりがちな上に亡くなった人を思い起こしやすいため、悲しみがぶり返したり、捨てることに罪悪感を覚えやすく、なかなか捨てられないものです。
今回は、亡くなった人の衣類を処分する方法や上手な残し方をご紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
衣類の遺品整理手順①先に確認すべきこと
亡くなった人の衣類を処分する前に確認するべきことが4つあります。この4つの確認を怠ると、後々トラブルが発生する恐れがありますので、必ず確認してください。
遺言書(故人の意思)の確認
衣類の処分を含め、遺品整理を行う際は必ず事前に遺言書やエンディングノートを確認するようにしましょう。遺言書やエンディングノートには、亡くなった人の相続や遺品の扱いへの希望が書かれていることがほとんどだからです。
特に遺言書は法的な力があるため、確認せず内容に反する行いをしてしまうとトラブルに発展する恐れがあります。
ちなみに、遺言書を見つけたからと言って勝手に封を開けるのは危険です。遺言書によっては検認という段階を踏まなければならず、違反してしまうと罰金が発生します。
親族の意思の確認
亡くなった人の衣類の処分は個人の判断で行わず、必ず事前に親族の意思を確認しておきましょう。
親族の中には、服を形見として譲り受けたいと考えている方や、亡くなった人と生前に衣類に関する何らかの約束をしていた可能性があります。親族と話し合うなら、四十九日や一周忌といった親族で集まるタイミングでの相談がスムーズです。
また、法事や遺品整理に参加されない方にも連絡をし、意思を確認するのがベターです。これも先ほどの遺言書と同様に、衣類に限らず全ての遺品に共通する確認事項です。
衣類のポケットの確認
遺品整理の現場では、亡くなった人の衣類のポケットから現金や貴重品が見つかることがよくあります。ズボンやアウターなど、ポケットが多い衣類は念入りに確認しておくと安心でしょう。
また、衣類と衣類の隙間に重要な書類が挟まっている場合もあるため、少し手間ですが畳まれている衣類は一度広げて確認しましょう。
他の人の衣類かどうか確認
もし誰かと同居していた場合、亡くなった人の部屋に同居している方の衣類が紛れていることがあります。
なんとなく亡くなった人の衣類だと判断してしまい、処分してしまう恐れがありますので、同居している方がいる場合は確認をとりましょう。
衣類の遺品整理手順②仕分ける
1章でご紹介した4つの確認を終えたら、3つのカテゴリーに分類し、衣類を仕分けていきます。
1)処分する衣類
傷んでいたり、肌着など譲り受けたい人がいない衣類は「処分する衣類」として仕分けます。処分する衣類は自治体のルールに従って処分するか、3章を参考に手放すのもおすすめです。
2)残す衣類
・思い出の衣類
・まだ着られる衣類
・形見として譲る衣類
・売却する衣類
これらは「残す衣類」として保管します。
「思い出の衣類」と「まだ着られる衣類」は、あまり多くの数を残してしまうと遺品整理の意味が無いため、心苦しいですが残すのは必要最低限の数にとどめるようにしましょう。
3)保留する衣類
とはいえ、亡くなった人がよく身に着けていた衣類や思い出が強く残る衣類は、その人を想起させるため、劣化していて使い道のない状態であっても簡単に捨てられません。そのような衣類は心の整理ができるまで保管し、後からゆっくりと整理するのがおすすめです。
衣類を処分する5つの方法
亡くなった人の衣類の処分方法は、可燃ごみとして処分するだけではありません。この章では、罪悪感を最小限にできる衣類の処分方法(手放し方)もあわせてご紹介します。
自治体のルール通りに処分する
自治体によりますが、衣類を「古布」として回収し、再資源化している自治体は多く存在します。ただし、古布として出せる衣類・出せない衣類、出し方など細かくルールが定められているため、お住いの自治体のルールを必ず確認してから出しましょう。
衣類は基本的に可燃ごみとして出せるので、不要な衣類は可燃ごみの日にまとめて出すと早く片付きます。ただし、人によってはごみとして出すことに罪悪感を覚えてしまうことがあります。
供養する
亡くなった人の魂が宿っていると考えられるものは炎で浄化するお焚き上げという供養がおすすめです。
お焚き上げを行うには、お焚き上げを実施しているお寺や神社に申し込むか、お焚き上げ専門サービスに申し込みましょう。お焚き上げ専門サービスは主にオンラインで申し込むことができ、衣類を箱に詰めて送るだけで済みます。伝統的な方法なので神聖な気持ちで処分できるでしょう。
寄付に出す
福祉施設やボランティア団体には、衣類の寄付を受け付けているところがあります。寄付に出した衣類は、社会の役に立つために国内外で活用されます。所有していた衣類が様々な場所で役立てられていることを知れば、亡くなった人もきっと喜ばれるでしょう。
売却する
衣類はリサイクルショップや質屋、フリマアプリなどで売却することができます。
亡くなった人の着ていた衣類が新たな持ち主のもとで大切にされると思えば、気持ちよく処分できるはずです。
身に着けるものですので、売却する前に綺麗な状態にしておきましょう。
お気に入りだった服は故人に着せる
一般的に亡くなった人は死装束を着るイメージですが、生前に気に入って身に着けていた服を着せてあげたり、ご遺体にかけて一緒に火葬することもできます。お気に入りの服で送り出してもらえて、亡くなった人は嬉しく思われるでしょう。
ただし、着せられる服に制限が設けられている場合もあるので、素材や装飾に問題が無いかを含め葬儀社などに必ず確認をとりましょう。
プログレスは全国の
エリアで展開中!
現状対応できない地域も一部ございます。
詳しくはお問い合わせください。
上手な衣類の残し方
手元から衣類が無くなってしまうのが辛いと感じる方は、この章でご紹介する方法を試してみてください。
仕立て直す
着物は寸法直しや仕立て直しを施すことで再利用できる特徴を持ちます。
小さくすることはもちろん、ある程度大きくすることも可能なので、譲り受ける方の体型が亡くなった人と違っても、可能な限り問題なく着られるように調整してもらえます。
リメイクする
ぬいぐるみ用の小さな服にしたり、バッグや巾着などにリメイクをすることで衣類の一部を手元に置いておくことができます。亡くなった人がいつも見守ってくれているようで、安心感も得られるでしょう
着物の場合は着物から羽織、振袖から訪問着などにリメイクすることもできます。
写真に撮る
捨てられない衣類は写真に撮ってデータとして残しておくと、衣類そのものを処分した後でも見返すことができ、亡くなった人を偲ぶことができます。保管するスペースやメンテナンスも不要なので衣類そのものを残すよりも負担が少なくなります。
また、データ化することで親族に簡単にシェアできるのも便利です。
負担が大きいなら業者依頼がおすすめ
亡くなった人の衣類をごみ以外の方法で処分するとなると、どうしても時間や手間がかかってしまいます。そんな時は、遺品整理業者に衣類の処分を手伝ってもらうのがおすすめです。
遺品整理業者は親族や亡くなった人の希望を汲み取るプロですので、お焚き上げの手配、リサイクル、リユース、買取など様々なサービスを提案・実施してくれます。
当然、残しておきたい衣類を勝手に回収されることもありません。
亡くなった人が大量の衣類を所持していたり、賃貸などで作業時間に余裕の無い方は、一度遺品整理業者に問い合わせてみると負担を軽くすることができるかもしれません。
まとめ
亡くなった人の衣類はどうしても処分することに抵抗が生まれます。
辛い気持ちがある中で処分を進めると、一生の後悔が残ることもありますので、当コラムを参考に少しでも負担や後悔の減らせる方法を試してみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。