ある日突然命を落としてしまったときに、残された家族が困らないよう身の回りを整理しておく生前整理。
生前整理や終活は気が重いという方は、ミニマリストのライフスタイルを参考にしてみてはいかがでしょうか。
今回は「生前整理とミニマリストの関係」や、ミニマリスト特有の「必要な物だけを持つ生活」についてご説明いたします。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
生前整理とミニマリストの関係とは?
ミニマリストとは所有する家具や衣類、日用品など身の回りの物の量を減らし、必要最小限の生活必需品で生活する人のことです。
アメリカの富裕層が始めたのをきっかけに、新たなライフスタイルとして世界中に広がりました。
対して、生前整理は老後に備えて今後使わない物を処分することです。
生前整理とミニマリストは、どちらも身の回りの物を減らすことで、より快適でシンプルな生活を送ることを目的としています。
しかし、生前整理には自分の残りの人生を充実させるためだけではなく、家族が死亡後の手続きや遺品整理に困らないよう事前準備をする目的も含まれています。
ミニマリストとは?
一般的な片付けの考えに基づいて整理する場合、好きな物はいくつでも保管できます。
しかし、ミニマリストの考え方では好きな物でも最小限の個数しか保管できません。
ミニマリストのライフスタイルを取り入れるのは難しいと言われる所以です。
筆者にはミニマリスト思考の友人がいますが、無駄がなく洗練された生活を送っています。
しかし、私にはどうしても手放せないコレクションがあり、捨ててしまうと喪失感に襲われてしまいそうだったため生前整理を意識して片付けを始めることにしました。
どちらの方法が自分にあっているかは、自分のライフスタイルや価値観と比較しながら判断すべきでしょう。
生前整理におけるミニマリストのメリット
生前整理はミニマリストになるきっかけとして一番簡単な方法です。
今後の人生で必要ない物を処分すれば精神的な余裕が生まれるだけでなく、毎日の掃除が楽になり、体への負担も軽減されます。
また、地震などの災害時に家の中で怪我をするリスクも減らせます。
遺族の負担を減らせる
生前整理をしないまま亡くなってしまった場合、残された家族は大切な人を亡くした悲しみを抱えながら大量の遺品を整理しなければなりません。
もしミニマリストとして必要最小限の物だけを所有していた場合は、遺品整理作業が短時間で済み、家族に負担が掛かりません。
精神的な余裕ができる
生前整理をして必要な物だけを手元に残しておけばストレスがなくなり、精神的な余裕が生まれます。
また、室内に溜め込んだ物を処分すれば部屋に解放感が生まれ、気持ちが落ち着きます。
ライフスタイル専門サイト「NIKKEI STYLE」の記事によると、人は緊張した状態のときに物へ視線が移りやすく、不安やストレスを抱えている人は部屋から物をなくしてしまうと反対に落ち着かなくなると説明されています。
参考サイト
【「心理学が解決 ストレスゼロ片づけ&癒やしの部屋作り」日本経済新聞】
筆者が個人的な悩みで塞ぎ込んでしまったときの話ですが、取り出した物を元の場所に戻すのが億劫になり部屋の中が物で溢れ返ったことがありました。
室内に圧迫感を感じて片付けをしたところ、部屋に窮屈さがなくなり、気分がすっきりしたことを覚えています。
もしご自身のお住まいが散らかり気味であれば、ストレスで心に余裕がないまま生活しているのかもしれません。
部屋が汚いなと思ったら身辺整理を兼ねて片付けをし、気持ちを切り替える絶好の機会です。
毎日の掃除が楽になる
部屋に不要な物が置きっぱなしになっていると、掃き掃除や拭き掃除をするときにわざわざ撤去しなければなりません。
ミニマリストとして必要最小限の物だけを室内に保管すれば、室内にスペースが広がり、毎日の掃除が楽になります。
掃除が楽になれば日々の掃除がストレスにならず、部屋をよりきれいに保ちやすくなります。
物を減らすとこのように好循環が生まれ、生活環境が著しく向上する可能性があります。
室内で怪我をするリスクが減る
部屋に日用品が積み重なっていれば、地震が発生すると倒壊して怪我をする恐れがあります。
また、転倒した家具や日用品が道を塞いで逃げ遅れる可能性も考えられます。
普段からミニマリストとして最小限の物だけを室内に置くようにすれば、怪我や避難時のリスクを回避できます。
さらに、物が少ない部屋は風通しが良くなるため室内にカビやゴミが溜まりにくくなり、体調を崩す頻度も減らせます。
人間関係を整理できる
写真やアルバム、年賀状などを処分すれば、惰性で付き合っている友人などときっぱりと縁を切れます。
人間関係を整理すれば、ストレスの大半から解放されます。
自分の人生に大きく影響しない人の連絡先はスマートホンやパソコンから削除し、長く付き合いたい人だけを残しましょう。
ミニマリストは、地震などの災害時に家の中で怪我をするリスクを減らせるのはメリットですが、ストックが少ないので災害時の対応がデメリットになります。
災害に備え、防災用品をそろえておきましょう。
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ミニマリストとして生前整理をする場合の手順
ミニマリストとして生前整理を始める場合は、以下の手順を参考に必要な物と不要な物に分別してみましょう。
私物、財産をすべて把握する
まずは自分が何をどれくらい持っているかを確認しましょう。
押し入れや家具に収納していた物を出し、室内に並べます。
家中の物を一度にすべて広げる必要はありません。
まずは事前に決めた範囲に保管していた物だけを出してみましょう。
財産は紙に書き出して整理すると一目で判断できます。
このときに建物や預貯金だけでなく、借金などのマイナス財産を書き出すのを忘れてはいけません。
保険証や通帳、印鑑などは家族がすぐに取り出しやすいよう、まとめて保管するべき貴重品です。
重要な書類と一緒にまとめておき、必要なときにすぐ手続きができるようにしておきましょう。
必要な物と不要な物を分類する
所持している日用品や財産をすべて把握したら、手元に残す物と処分する物に分別していきます。
処分に困る物は保留する物として分けておきましょう。
初めは処分するかどうかを決められず、分別に時間がかかるかもしれませんが、慣れるとスムーズに判断できるようになります。
不要な物を処分する
分別をすれば不要な物を処分します。
思い出の品やぬいぐるみなど、ゴミとして処分しにくい物は、リサイクルショップやフリマアプリを利用して手放す方法がおすすめです。
買取金も手に入り、生前整理や処分の費用を軽減できます。
必要な物を収納する
必要な物はすぐに取り出せる場所に収納します。
使用頻度が少ない貴重品などは引き出しの奥や箱に入れて保管しましょう。
取り出しやすく収納しやすい場所にしまえば、物を取り出すときにストレスを抱えません。
ミニマリストを続けるコツはある?
ミニマリストになると決心したからといって、一気に大量の物を処分する必要はありません。
生前整理も同様に、時間をかけて本当に手放しても問題がないか考えながら整理しましょう。
新しい物を1つ購入すれば古い物を1つ捨てるといったように、自分で物を増やさないためのルールを決めると効果的です。
また、重たい物があり一人で整理できない場合は業者に相談すると片付けが捗ります。
自分ひとりで無理に対処しようとすると、途中で挫折してしまう可能性もあります。
生前整理を請け負ってくれる専門の業者に依頼すれば、処分にかかる手間や時間を省け、手早くミニマリストの生活を始められます。
まとめ
生前整理はこれからの生活に必要ない物を仕分けて処分する作業です。
そのため、必要最小限の物を持つミニマリストとしての生活を始めるきっかけになりやすいといえます。
より快適で無駄のない生活を送りたいなら、生前整理から始めて、ミニマリストのライフスタイルを徐々に取り入れてみてはいかがでしょうか。