故人の愛用品や思い出の詰まった品を処分することにためらいを感じる人は少なくありません。
「故人に申し訳ない気持ちになる」「罰が当たるのでは」と思う一方で、だからといって遺品すべてを残しておくことも難しいのが現実です。
中には遺品を身に付けたり使い続けることに抵抗を感じる人もいます。
「運気が下がってしまうのでは?」と心配になる人もいらっしゃるでしょう。
遺品は捨てるほうが良いのか、残すほうが良いのか。
結論からいえば「捨てる」も「残す」も、どちらも正解です。
この記事では遺品のスピリチュアルな意味や、捨てる品と残す品をどうやって選別するか、後悔しない処分方法などを詳しくご紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
スピリチュアルとしての遺品の意味
2023年に日本トレンドリサーチが行った調査によると遺品整理時に「取り扱いに困った遺品がある」と回答した人は56.9%、「取り扱いに困った遺品を現在も所持している」と答えた人は47.1%にも上ります。
特に故人の愛用品や思い出の品、日記や手紙、写真などの処分をためらう人は非常に多いようです。
日本では「万物には魂(精霊)が宿る」「八百万の神」という独自の宗教観が古来より存在し、身の回りの物、自然や現象のすべてに神様や精霊が宿っているとされ、物を大切にする精神や価値観が育まれてきました。
遺品も例外ではなく、生前の思い出や故人の気が宿ると考えられています。
遺品を受け継ぎ、使用する行為には「故人を偲ぶ」「思いを引き継ぐ」という意味があります。
日本独自の文化として「形見分け」があり、これは「片身分け」ともいわれ、元々は故人の衣類やかんざし、指輪など身に付ける物を親近者に分けることで魂を継承し、供養するものだったようです。
では、遺品を捨てる行為は良くないことなのでしょうか。
参考サイト
【2023年 日本トレンドリサーチ Real Audio(オーディオ買取業者)との共同調査】
遺品を捨てると運気は上がる?下がる?
人と人には相性の合う・合わないがありますが、遺品に宿る気にも使用者との相性があると考えられています。
遺品に触れたときに懐かしさやあたたかさなど、心地良いものを感じる場合は相性が良いと判断します。
生前、故人との関係が良好だったなら遺品に宿る気はきっとポジティブなものでしょう。
手元に残しておくと、お守りとして悪いことからあなたを護ってくれたり、運気を上げてくれるような心強さを感じるはずです。
しかし、遺品を見たり触れたりすると憂鬱な気持ちになったり、手元に置きだしてから不運な出来事が続いたりするような場合は、遺品の持つ気に引きずられて運気が下がっている可能性があるので、手放すかお清めを考えたほうがいいかもしれません。
遺品を捨てることの意味
遺品を捨てることにも前向きな意味があります。
故人を偲ぶ気持ちは大切ですが、遺品に宿る思いに頼りきりにならず、自立して歩んでいくためにあえて処分する行為は良いことだと考えられているのです。
手元に残す物と手放す物
もうおわかりかと思いますが、受け継ぐことで「気分が良くなる」「良いことが起きる」と感じる遺品は手元に残す物、逆に「憂鬱な気持ちになる」「不運なことが続く」と感じる遺品は手放す物と判断できます。
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「残す」「捨てる」以外の選択肢
形見分け
親近者で行う形見分けは故人の魂を継承し、供養するものです。
仏教では49日を明けてから、神式では50日経過した忌明け後に形見分けを行うのが一般的なようです。
形見分けは親族までと決まっているわけではなく、生前親しくしていた友人や知人に行うこともあります。
故人との思い出が詰まった品を譲ってほしいと相談されたり、生前に「友人にはこれを渡してほしい」と故人から頼まれたりしている場合もあるでしょう。
その際に気を付けたいのは、遺品の押しつけにならないようにすることです。
受け取り側が望むのなら良いのですが、そもそもその品物を使う機会がない人に譲った場合、困惑させてしまうかもしれません。
また、遺品に宿る気との相性が良くない場合もあります。
相手方が受け取りを辞退される可能性も考えて、話しやすい雰囲気作りが大切です。
寄付
図書館・学校・美術館・福祉施設などの施設やNPO、NGOといった団体、被災地などに寄付をする方法があります。
寄付できる品物は寄付先によって異なりますので事前に調べておきましょう。
一つの例としてお話しますが、筆者の祖父は教師をしており専門書籍をたくさん所有していました。
子供が好きで教育にも熱心だったので、祖父亡き後に家族で話し合い中学校の図書室に寄付いたしました。
未来を担う少年・少女たちの役に立てることを祖父もきっと喜んでくれていると思います。
売る
抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、遺品を売却しても問題はありません。
スピリチュアルでは、手放したとしても遺品に宿った故人の思いとの絆は少なからずつながり続けると考えられます。
そのため、次の所有者が大切にしてくれたり、人助けとして役立てられるような使われ方をされたりすると、こちらにも良い気が届けられるそうです。
逆に言えば悪い気も伝わってくる可能性がありますので、売り方や買い手の選定には十分注意しましょう。
後悔しない遺品の処分方法
遺品を捨てることに罪悪感を覚える、という人は意を決して無理に処分したとしても後々、自分の行いを悔やむことになるかもしれません。
そうならないためにも、納得のできる方法で手放したいですよね。
遺品の供養
遺品の供養では主に「お焚き上げ」という方法が取られます。
遺品を燃やすことで遺品に宿った魂が煙にのって天に還り供養ができると考えられています。
燃やせない品物に関しては読経を行い御霊抜きをして、遺品の代わりとなるお札をお焚き上げすると供養ができるので、その後遺品は廃棄処分しても大丈夫です。
故人のお墓がある神社やお寺で執り行ってもらうことが多いようですが、お焚き上げ専門の業者も存在します。
遺品整理業者でも供養まで一緒に対応してくれるところもあります。
こちらの記事で「お焚き上げ」を詳しく紹介しています
お清め・浄化
遺品に宿った気が憂鬱に感じるものであっても、どうしても手元に置いておきたい場合は神社・お寺など、信仰されている宗派の神主・僧侶へ相談してお祓いを受け、遺品に宿った気を浄化するのが良いでしょう。
「そこまでするのは……」という場合は、天然の粗塩で清める方法もあります。
古事記に「海水に浸かって禊を行った」という記載があるように塩には浄化の力があるとされます。
身近な例としては玄関に置かれた盛り塩や葬儀の際に渡されるお清め塩も同様に「けがれ」を祓うためのものです。
この「けがれ」は「汚れ」ではなく「気枯れ」と書き、生命力が枯渇してしまった状態をいいます。
他には太陽光に当てて浄化する方法もあります。
晴れた日の午前中に太陽の光を当てて新しい気を入れると良いそうです。
しかし品物によっては塩や日光によって傷んでしまうこともありますし、自分で浄化を行っても遺品を手にしたときの陰気さが晴れない、不運が続くというような場合にはお清めや供養を検討しましょう。
生前整理やエンディングノートは優しさ
ここまでは遺族の立場からみた遺品についてお話してきましたが、私たちもいつかは黄泉の国へと旅立ちます。
残される家族のことも考えて準備をしておくのも大切です。
最近では終活という言葉も浸透し、元気な内から生前整理を始める人も増えました。
これからの自分に必要のない物は処分し、遺品になる物をできるだけ減らしておくのは、残される家族へ向けた優しさでもあります。
また形見分けの希望があるのなら、エンディングノートへ「誰に何を譲りたいか」とその方への連絡手段も記載しておきましょう。
エンディングノートについてはこちらで詳しく紹介しています
生前整理についてはこちらの記事がおすすめです!
まとめ
遺品を処分することにためらいを感じるのは、日本人に染み付いた思想だからというだけではなく、故人と遺族が互いに思いやる心があるからこそから生じる葛藤であり、この気持ちはとても崇高だと筆者は思います。
誰もがいつかは大切な人との別れを経験します。
故人を偲び、心を慰め、また歩き出せるようになるために遺品と向き合う時間はとても貴重で尊いものです。
故人の思いを継承する品物は手元に残して大切にし、その他の物は形見分けや寄付、供養などそれぞれに合った方法で手放しましょう。
きっと故人の思いがあなたの味方になってくれるでしょう。