遺品の中には遺族が把握していない現金や貴金属、骨董品などの貴重品が隠れている場合があります。
価値が高い遺品を狙って、遺品整理業者や親族、友人によってネコババされる事件も報告されています。
大切な遺品を許可なく持ち去られてしまわないよう、ネコババされないための対策や、ネコババされたときの対処法について理解しておきましょう。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品整理業者によるネコババに注意
遺品整理業者の中には悪質な業者も存在します。
悪質な業者による料金の高額請求、不法投棄などの被害が全国で報告されています。
さらに遺品整理中に現金や貴金属、ブランド品、美術品など大切な物をネコババされたというトラブルも発生しています。
遺品整理業者に遺品をネコババされないためには、ネコババされやすい遺品の種類や場所、対策を理解しておくだけでなく、社員教育が行き届いた業者、過去に遺品を持ち去ったトラブルを起こしていない業者を選んで依頼する必要があります。
親戚や友人にネコババされる場合も
遺品整理業者だけでなく、遺品整理を手伝いに来た親族や友人にネコババされるトラブルも発生しています。
一人で遺品整理をすればネコババされる心配はありませんが、遺品整理の負担を減らせるよう、なるべく誰かに手伝ってほしいですよね。
遺品整理は一人だけで取り掛かると時間と体力を大きく消耗します。
筆者も祖母の遺品を整理した経験がありますが、想像よりも大量の遺品が室内に残されており、予定時刻よりも大幅に遅れて作業を終えた経験があります。
親族や友人に遺品整理を依頼するときでも、事前に貴重品だけを仕分けておいてから作業をお願いしたほうが安心です。
親族だから、生前に親しかったからという理由だけで遺品整理に協力してもらわず、故人との関係や身元を確認してからお願いするようにしましょう。
親族や友人に遺品整理を手伝ってもらうときは、目の届く範囲の遺品整理だけをお願いしたり、搬出作業だけをお願いするとより安全です。
ネコババされやすい遺品・保管場所とは?
・ネコババされやすい遺品
小さくてポケットにこっそり入れてもばれにくい、あるいは高い価格で売却できる遺品がよく狙われます。
骨董品や美術品などの大きな遺品でも、処分する遺品に紛れ込ませて気付かれないように持ち去られてしまう事例もあります。
現金、預金通帳、有価証券
へそくりとしてタンスやカバンの奥に隠されていた現金を遺族に報告せず、そのままポケットに入れてネコババする事例は数多くあります。
預金通帳や有価証券は現金と同じ場所に保管されていることが多いため、まとめてネコババされる可能性が高いようです。
貴金属、ブランド品
貴金属のアクセサリーやブランドの腕時計、イヤリングなどは小さくて隠しやすいだけでなく、価値も高いためネコババされやすい遺品の一つです。
パソコン、スマートフォン
ノートパソコンやスマートフォンなど、小型で高額な家電もネコババの被害に遭いやすいです。
個人情報など貴重なデータが残されていますので、絶対にネコババされないようにしましょう。
・ネコババされやすい保管場所
貴重品が隠されている可能性が多い、あるいは誰かに気付かれにくい小さな隙間に隠された遺品はネコババの被害に遭いやすいです。
株式会社リクルート住まいカンパニーが運営する不動産・住宅サイト『SUUMO(スーモ)』では、全国の20〜59歳までの男性208名、女性208名にへそくりの隠し場所をテーマにアンケートが行われました。
その結果、「机や棚の引き出し」が1位、「タンス」が2位、「本棚や本」が3位と言う結果が発表されました。
*参考サイト
【「SUUMO調べ、へそくりの隠し場所、2位「タンス」・1位は?」リクルート住まいカンパニー】
上記の結果からいろいろな物に紛れ込ませやすく、ご自身の目の届く範囲で管理しやすい場所が選ばれているとわかります。
このアンケートを読んでいた筆者も、現金を机の引き出しに保管していた時期があったため、多くの人が思いつく隠し場所が机や棚の引き出しなんだと度肝を抜かれました。
多くの人に選ばれやすい隠し場所は、狙われる確率も高い場所とも言えます。
遺品整理を依頼する前に、へそくりや貴重品が隠されていそうな場所を見かけたら、一度ご自身で中を調べておきましょう。
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遺品をネコババされないための対策
遺品をネコババされないためには、あらかじめ遺品を仕分けて大切な物を引き取ったり、ご自身の目が届く範囲内で作業をしてもらう対策が有効です。
・大切な物は事前に整理する
現金や貴金属、ブランド品などの収納場所を既に把握している場合は遺族の手で事前に整理しておきましょう。
保管場所に心当たりがなくても、ネコババされやすい場所として先程ご説明した机や棚の引き出しを確認すれば見つかる可能性があります。
遺品が大量にあり、どうしても遺品整理を事前に行う時間がない場合は貴重品が隠されていそうな場所から確認してみましょう。
・貴重品を紙に書き出す
保管したい貴重品を紙に書き出し、業者に「見つかったら保管しておいてほしい」とリストを見せる方法です。
遺族が保管を希望しているという意図を伝えられるため、ネコババを防止できます。
また、手元に残したい貴重品をあらかじめ紙に書き出せば、親族で形見分けをするときや相続の手続きにも役立ちます。
・遺品整理前に写真を撮る
遺品整理業者に作業を任せる前に、室内の様子を撮影しておきましょう。
できれば引き出しの中や、タンスの中も撮影しておくとネコババに遭ったときの証拠として役立ちます。
ネコババだけでなく、作業中に遺品や室内の壁、床を傷つけてしまったときのための証拠にも利用できます。
・遺品整理の現場に立ち会う
遺品整理の現場に立ち会えば、作業の進捗やスタッフの行動を確認できます。
また、貴重品に限らず思い出の品が出てきた場合でも、ご自身の意思を伝えれば捨てられずに残してもらえるため、より亡くなった方やご自身の希望に沿った整理が行えます。
どうしても立ち会えない場合は作業の様子を写真や動画で記録してもらいましょう。
・貴重品を家具などに隠さないようにする
ご家族の中でタンスや机の引き出しの中に現金を隠している方がいらっしゃれば、盗まれないように銀行口座に預けるよう話し合うのも対策の一つです。
タンスは遺品整理業者によるネコババだけでなく、特殊詐欺や空き巣などの様々な犯罪に狙われやすくなります。
必要以上の現金は自宅で保管しないほうが安全です。
遺品をネコババされたときの対処法
遺品のネコババに気付いた場合は、まず警察に連絡しましょう。
遺品整理の途中でネコババに気付いた場合はいったん作業を中止し、現場の状態を変えないようにして警察の到着を待ちましょう。
クレジットカードやキャッシュカードがネコババされた場合は銀行やクレジットカード会社にも連絡をする必要があります。
カードが悪用されないよう、ネコババに気付いたらすぐに連絡をして利用を停止してもらいましょう。
警察が到着したら遺品が盗まれたと思われる時間や遺品の種類などをできるだけ詳しく伝えてください。
もし弁護士への相談が必要になった場合は、気軽に相談できる「法テラス」を利用しましょう。
法テラスとは国によって設立された法的なトラブルを解決するための総合案内所です。
法的なトラブルを気軽に相談でき、法律の手続きや専門用語も丁寧に説明してもらえるため、どうやって解決すればいいかわからない場合でも気軽に相談できます。
*参考サイト
【日本司法支援センター 法テラス】
まとめ
遺品には現金や貴金属などの価値が高い物が隠されていることがあり、遺族が気付かないうちに遺品整理業者や親族、友人に持ち去られてしまいやすいです。
ネコババされやすい遺品は事前に取り出しておくか、ご自身も立ち会って目の届く範囲で作業をしてもらいましょう。
また、遺品整理業者を選ぶときも、過去にトラブルを起こしていないか、スタッフの教育は行き届いているかをホームページや実際の対応などを参考に調べておきましょう。