遺品を整理している途中、タンスや戸棚の中から現金や貴重品が出てくることがあります。
亡くなられた方が生前にへそくりとして隠したまま存在を忘れてしまい、金額や価値によっては相続について親族間でトラブルになる可能性もあります。
親族間でトラブルにならないよう、遺品整理中に出てきた現金や貴重品の正しい相続方法、現金が見つかりやすい場所を把握しておきましょう。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品整理でお金が出てくる場所とは?
現金はもしもの時にすぐ引き出せる机やタンスに隠されている場合もあれば、仏壇やキッチンに保管されている場合もあります。
本人が「貴重品は何も入っていない」と言っていても、しまいっぱなしのまま忘れていた現金が出てくる可能性がありますので、処分前に必ず確認すべきです。
また、土地の権利書や株式証紙などの貴重な書類も現金と一緒に保管されている場合があります。
タンスの引き出し
タンスの引き出しは最も現金が出てきやすい場所です。
現金を衣類と一緒にタンスの中に隠せば、外から見られてもわからないためです。
タンスに保管された遺品を整理する場合は、衣類を広げて一点ずつ確認する作業が欠かせません。
仏壇、神棚
仏壇や神棚には仏様や神様がいらっしゃると考え、盗難される心配がないからと現金や貴重品を収納されている方も多いようです。
仏壇には引き出しも多く作られているため、現金を収納しやすいのも理由の一つです。
キッチン
キッチンから現金や貴重品が見つかる場合もあります。
キッチンは収納スペースが多く、毎日使う場所のため安心感があるためです。
食器棚や床下収納に現金や貴重品が保管されている場合もあります。
バッグや衣類の中
生前使用されていたバッグやコートのポケットの中に、現金が残されてる場合もあります。
筆者が祖母の遺品整理をしていたとき、カバンの内ポケットや上着のポケット、ズボンのポケットから小銭が何枚も見つかりました。
祖母は生前、神社への参拝が趣味だったため、お賽銭をポケットに入れる癖がありました。
このように、お財布以外から現金が見つかる場合がありますので、生前に使用されていたバッグや服は必ずポケットまで確認しておきましょう。
布団の下
亡くなった方が布団やカーペットを敷きっぱなしにしていたのであれば、その下に現金を隠していることもあります。
万が一のときにすぐ取り出せますので、現金を隠す候補として選ばれやすいようです。
上記の場所以外にも、本やアルバムの隙間、靴箱の中などから現金が見つかる事例もあります。
現金を誤って処分しないよう、遺品整理を行うときは一点ずつ中身を確認してから処分するのがおすすめです。
遺品の中から現金が出る理由
現金主義の方や自宅の近くにATMがない方は、現金を自宅で保管する傾向があるため、遺品の中から現金が見つかりやすいと考えられます。
へそくりとして保管していたため
50代女性に向けた情報誌「ハルメク」を発行している株式会社ハルメクホールディングスでは、50〜79歳の既婚男女600名を対象に「シニアの夫婦関係と生活に関する意識調査2022」をWEBアンケートを使って実施しました。
その結果、へそくりがあると答えた人は全体の41.8%で、平均金額は402万円と発表されています。
*参考サイト
【「シニアの夫婦関係と生活に関する意識調査 2022」株式会社ハルメクホールディングス】
この調査報告のように、大金をへそくりとして自宅で保管している方は多いようです。
老後にお金で困らないように貯金していた現金が忘れられてしまい、亡くなった後に遺族によって発見されるという事例も少なくありません。
現金主義の高齢者が多いため
高齢者の中には、パソコンやタッチパネルの操作に慣れていない方が多く、機械に財産管理を任せることに抵抗がある現金主義者もたくさんいます。
クレジットカードの新規登録は高齢者の方にとっては複雑でわからない場合が多く、家の本棚や布団の下に現金を保管しておけばすぐに取り出せると考える方もいます。
ATMで引き出す手間が面倒なため
田舎に住んでいた場合、最寄りにATMがなければ自宅に現金を保管する方もいらっしゃいます。
遠いATMに行かなくても、銀行でまとめて引き出し、自宅で管理していたほうが時間や手間がかからないためです。
筆者の祖母は山奥に住んでいたため近辺にATMがなく、現金は遠出をした際にまとめて引き出していました。
クレジットカードの契約をしていなかったため、大金でも現金で管理するほうが楽だったようです。
筆者の祖母のように、現金をまとめて引き出す行動をとっていた方は、家具や衣類の中に現金が残されているかもしれません。
遺品整理で出たお金はどうすればいい?
遺品整理で出た現金は少額でも遺産となり、相続人同士で分け方を相談しなければいけません。
内緒で持ち帰ってしまうと後に遺言書やメモなどで現金の存在が発覚し、トラブルとなる場合がありますので必ず申告してください。
遺産を相続するためには遺産目録を作成します。
遺産を相続するときは相続税が発生しますので、遺品整理中に出たお金を把握するためにも作成すると便利です。
国税庁のホームページでは、相続税には基礎控除額が定められており、相続額が基礎控除額を超えたときに相続税が発生すると説明されています。
基礎控除額は基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数で算出できます。
相続税は相続開始後から10ヶ月以内に税務署へ申告、納付をしなければいけません。
*参考サイト
【「財産を相続したとき」国税庁】
相続税について何から始めればいいかわからない場合は、専門家に相談して手続きを進めると安心です。
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遺品整理で出たお金のトラブルとは?
現金に気づかないまま捨ててしまう
衣類のポケットやカバンのポケットに現金が入っていても、気付かないままゴミと一緒に処分してしまうトラブルです。
処分場で現金が見つかったとしても返却できない場合がほとんどですので、貴重品や現金が遺品のポケットや隙間に残されていないか一点ずつ丁寧に確認してください。
手伝いに来た知人、業者によって窃盗されてしまう
遺品整理を手伝ってくれた知人や遺品整理業者に現金を盗まれたという事例も報告されています。
現金だけでなく、貴重品や高級家電、ブランド品なども窃盗される恐れがあります。
タンスやカバンに残された現金を遺族に気付かれないようこっそりと持ち逃げされた場合、窃盗に気付くのが遅れて取り戻せなくなります。
遺品整理で出たお金のトラブルを防ぐ対策は?
第三者によって窃盗されるトラブルを防止するため、あらかじめご自身の手で遺品整理を進めておくようにしましょう。
もし遺品が大量にあり、すべて細かく調べる時間がない場合は現金や貴重品が残されていそうな一部の遺品だけを整理しましょう。
知人や友人が作業に来た後も、一緒に立ち会って遺品を確認するようにしてください。
そして、業者に遺品整理を依頼する場合は、確かな実績と利用者からの評価を持つ業者を選びましょう。
教育が行き届いていない未熟なスタッフが在籍している業者に任せると、勝手に現金や貴重品を持ち帰られてしまうかもしれません。
まとめ
現金はタンスの中だけでなく、仏壇や衣類、バッグなど想定外の場所からでてくる可能性があります。
そのまま処分してしまわないよう、遺品整理の際はポケットや小さな隙間も丁寧に確認しましょう。
遺品整理中に出てきた現金は遺産目録に記録し、相続人同士で分割します。
遺品の中から現金が出てきたときの扱いについて、事前に親族間で話し合いをしておくといいでしょう。