大切な人が亡くなった後は葬儀やお墓の手配、遺品の整理など、様々な出費が発生します。
実は遺品整理には保険が適用されます。
保険が適用できれば、遺品を処分する費用や遺品整理業者を利用する費用も保険金で賄えますよね。
今回は遺品整理に適用される保険の種類や、遺品整理に備えて保険に入るべきかについて解説いたします。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品整理は保険が適用される?
故人が加入していた保険の内容によっては、遺品整理に保険が適用される場合があります。
遺品整理に保険が適用されるとは、皆様も知らなかったのではないでしょうか。
保険の契約内容に「遺品整理」と具体的に記載されているケースは少ないため、遺品整理に適用されると知らない方がほとんどです。
株式会社リクルートが運営しているニュースサイト「SUUMOジャーナル」では、2017年に遺品整理に掛かる費用について一般社団法人遺品整理士認定協会に取材が行われました。取材によると、遺品整理に掛かる費用はワンルームであれば大体8~12万円、3LDKは30万~35万円が掛かると述べられています。
参考サイト
【「実家の遺品整理の費用。まるごと処分をお願いするといくらかかる?」SUUMOジャーナル編集部】
たとえば賃貸物件に住んでいた方が孤独死した場合、火災保険に加入していた場合は遺品整理や修理・修繕費用に保険金が支払われます。
突然家族が亡くなり、高い費用を負担しなければならなくなった場合でも、保険金が適用されれば損失を抑えられます。
遺品整理に適用される保険とは?
遺品整理に適用される保険は主に以下の3つです。
・火災保険
・生命保険
・孤独死保険
保険適用に関する具体的なケースもあわせて紹介します。
火災保険
特殊清掃や原状回復が必要になったときは火災保険が適用されます。
専門の薬剤や機器を使用したり、解体工事が必要になる原状回復作業には高額な費用が掛かるため、保険金は非常に役立つでしょう。
ただし、主契約ではなく特約として提供される場合がほとんどですので、契約前は補償内容によく目を通しておく必要があります。
生命保険
生命保険金は葬儀や引越し費用など、死亡後の手続きに関する費用として使われる場合がほとんどです。
死亡時に支払われる保険金を遺品整理の費用に回す手もあります。
筆者は祖母の遺品整理の際に、遺品の処分費用や倉庫の解体工事代を生命保険の保険金から支払いました。
整理する遺品が少なく、高額な物が含まれていない場合は生命保険の保険金だけで賄えるでしょう。
孤独死保険
家主型、あるいは入居型の保険に加入していた場合は、孤独死に保険が適用されます。
孤独死が発生すると状況によっては特殊清掃が必要になるため、損失に備えて加入する大家さんや管理会社が増加しています。
孤独死保険とは?
近年、孤独死に特化した孤独死保険が販売されるようになりました。
孤独死が発生した場合は特殊清掃の費用だけでなく、所有する物件が事故物件となり収入が減ってしまう問題も発生します。
孤独死保険はこうした損失を補填する保険です。
孤独死保険には個人用の入居者型と、大家さんや管理会社向けの家主型があります。
管理する物件でもし孤独死が起こっても、孤独死保険が適用されれば、遺品整理や特殊清掃、リフォームなどに充てられるため、リスク軽減につながります。
孤独死保険は2種類あります。
家主型
家主型は大家さんや管理会社が加入する保険です。
部屋ごとに契約が行われ、掛け金は家賃の総額に基づいて計算されます。
入居者が亡くなったときに、家主に対して遺品整理や原状復帰、家賃の損失に対する保険金が支払われます。
孤独死が発生して誰も入居できない状況が続き、収入が途絶えてしまうのを考えると、保険金を受け取れるのは心強いでしょう。
ただし孤独死保険に加入すると掛け金を支払わなければならないため、支出が増えるデメリットも考慮しなければいけません。
入居者型
入居者型では家財保障や賠償責任補償だけの保険と、修理費用の補償も含む保険が存在します。
遺品整理や特殊清掃の費用は、家財保障や修理費用補償に含まれます。
入居者型のメリットは、大家さんや管理会社が保険料を負担する必要がないことです。
また、入居者が契約する家財保障の特約として、孤独死以外の災害に対処できます。
デメリットとしては、家賃の損失が補償内容に含まれていないことが挙げられます。
そのため、孤独死による家賃の減額や空室期間中の家賃損失は補填できません。
また、保険契約者が入居者の場合は、原状回復後の保険金請求は入居者の相続人が行います。
そのため、相続人がいない場合は保険金の支払いが行われません。
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遺品整理に備えて保険に加入するべき?
遺品整理の費用は、遺産で賄える範囲内の費用しか発生しない場合がほとんどです。
そのため、基本的には遺品整理のために新しい保険に加入する必要はありません。
多くの保険は遺品整理に限定されたものでなく、火災や死亡などの緊急事態に備えて加入できるよう販売されています。
そして遺品整理に対する保険は特約が必要な場合が多く、状況によっては補償されない場合もあります。
しかし、以下のような場合は遺品整理に関連した保険への加入をおすすめします。
・一人暮らしをしており、孤独死する可能性が高い
・貯金がほとんどない
・遺族に負担を掛けたくない
筆者の友人はまだ40代ですが、一人暮らしをしているため万が一のためにと孤独死保険に加入しています。親族とも疎遠になっているらしく、孤独死をして迷惑をかけないようにと保険の加入とあわせて身辺整理も始めていました。
ご自身の死後に家族や大家さんへ負担を掛けたくない場合は、保険の加入を考えてみてはいかがでしょうか。
孤独死保険の選び方は?
孤独死保険は保険会社によって内容が異なります。
加入前に補償範囲や金額などを確認し、ご自身にとって適切な商品を選びましょう。
補償範囲
孤独死保険の補償内容は商品によって異なります。
例えば入居者型の場合は、家財保険に付随する特約であり、火災や雷、水害などの孤独死以外の損害にも対応できます。
反対に、家主型の場合は、災害によるリフォームが必要な場合、家賃収入の損失を補填する保険が用意されています。
ご自身の希望にあった補償が行われるか、加入前によく内容を確認しておきましょう。
また、被害状況と保険内容によっては、保険金が貰えない場合があるため、加入前に確認が必要になります。
孤独死保険は通常、契約した部屋内で居住者が亡くなった場合に補償が適用されます。
他の場所で亡くなった場合は補償されない可能性もあるため、病院や旅行中でも補償されるかも確認しておきましょう。
補償金額
補償金額は保証会社や保険内容によって異なります。
日本少額短期保険協会孤独死対策委員会が2022年11月に発表した「第7回孤独死現状レポート」によると、孤独死が発生したお部屋の残置物処理、原状回復作業などの費用を合算した平均損害額は92万4千円だと報告されています。
そのため、100万程度の保険金が支給される保険を選べば損失を補填できます。
参考サイト
「第7回孤独死現状レポート」日本少額短期保険協会孤独死対策委員会
家賃の補償期間、内容
家主型の孤独死保険を選ぶ場合は、家賃の補償期間を確認しておきましょう。
保険によって「事故発生から最長12ヵ月間」または「事故発生日から最長6カ月間」など、補償期間が異なります。
また、孤独死した部屋は通常、家賃を引き下げて新しい入居者を探すのが一般的です。この損失を補填するための保険を選択するとさらに安心です。
まとめ
遺品整理には、状況に応じて保険が適用されます。しかし、保険金は遺品整理そのものではなく、特殊清掃や原状回復作業に対して支払われる場合がほとんどです。
遺品整理のために新しく保険に加入する必要はありません。もし故人が遺品整理に関連する保険に加入していなかった場合でも、生命保険の保険金を利用すれば費用を賄えます。
もし遺族に負担を掛けたくない場合は、孤独死保険への加入を検討してみましょう。