遺品は故人との思い出を思い起こさせるため、多くの人が整理に苦労します。 遺品を処分する罪悪感を抑えるために、中古品として売る方法を選ぶ方もいらっしゃいます。 しかし、人によっては故人が大切にしていた物を売り、お金に変える行為に抵抗を感じてしまうかもしれません。 今回は遺品を売るときに抵抗を感じてしまう理由や、対処法についてご紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品を売る行為に抵抗を感じる理由は?
遺品を見ると故人との思い出が蘇ります。 遺品を売るとかけがえのない思い出も手放してしまうのではと思いとどまってしまう方が多いようです。 また、故人がお金と時間をかけて買い集めていた物を売ってしまってもいいのかと、売る行為自体に罪悪感を感じる方もいます。
故人との思い出が蘇るため
遺品には故人との思い出や感情的なつながりが残されています。 家族や友人とともに過ごした時間を象徴しているため、売ると故人との思い出を手放してしまうのではと決断しづらくなります。
故人の遺志を確認していないため
故人が直接その遺品の処分方法について伝えていなかった場合、遺族は故人の遺志を予想しながら売るか捨てるかを判断しなければいけません。 そのため、遺品を売る行為は故人の遺志に反しているのではないかと感じてしまう場合があります。
売る行為自体に抵抗を感じてしまうため
故人がお金と時間をかけて収集したコレクションを売却する行為に罪悪感を持つ方もいらっしゃいます。 また、地域の風習や親族間で、遺品は手元に残したり供養すべきだと考えられている場合があります。 ご自身では必要ない、売りたいと思っている場合でも、周囲からの意見に囚われて罪悪感を感じてしまいます。
罪悪感を感じずに遺品を売る方法は?
遺品の売却に罪悪感を感じたときの対策ですが、一番印象深い思い出がある遺品は保管し、特に思い出が残っていないものから優先的に選んで売りましょう。 特に思い出はないけれども、故人がよく使用していた遺品は一旦保管して、時間を置いてから考えてみましょう。 また、故人が生前に気にかけていたものや整理を考えていた遺品を代わりに売ってあげれば、故人の思いを尊重できます。
売らずに遺品を手放す方法は?
しかし、遺品によってはどうしても売りたくないと悩まれている方もいらっしゃるかと思います。 その場合は供養や譲渡という形でも手放せます。
供養をする
供養方法の1つとして、お焚き上げというものがあります。 お焚き上げとは遺品や神棚、位牌など粗末に扱えない物を神社やお寺で焼いて供養する宗教儀式です。 また、霊園や遺品整理業者がお焚き上げを手配してくれる場合もあります。
譲渡する
故人が生前愛用していた物をどうしても処分したり、売ったりできないという場合は、引き取りたいと希望する人に譲渡するのも一つの手段です。 親族間だけでなく、慈善事業や社会福祉団体に相談をして寄付をするのもよいでしょう。 物と一緒に故人の思いも引き継いでくれる方に譲渡すれば、故人にも喜んでもらえます。
時間を置いて考える
大切な人を亡くした悲しみが消えず、気持ちの整理がうまくついていない場合があります。 そのときに遺品の整理や処分を始めようとしても、悲しみが蘇り手が止まってしまう場合がほとんどです。 筆者も祖母を亡くしたとき、祖母が使用していた衣類や小物を見るたびに目に涙が滲んでしまった経験があります。 遺品を見ると平静でいられなくなるため、遺品整理は3ヶ月後からゆっくりと始めました。 どの方法も選べないと感じた場合は、気持ちの整理がつくまで遺品を保管しておきましょう。 決意が固まらないまま遺品を手放してしまうと、後で後悔してしまう可能性があります。
遺品を売る方法
遺品を売る方法は主に3つあります。 フリマアプリなどを利用して自力で売却する方法、リサイクルショップに持ち込む方法、そして専門業者に依頼して遺品を処分する方法です。
自力で売却する場合
フリマアプリやネットオークションを利用すれば手軽に自宅から遺品を出品できます。 フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリによる調査では、フリマアプリ利用者1000人に対して中古品の購入、使用に抵抗を感じるかアンケートが行われました。 その結果、前年度よりも5.9%多い53.0%が中古品の購入、使用に抵抗がないと回答しました。
参照:【「2022年度フリマアプリ利用者と非利用者の消費行動」に関する意識調査」株式会社メルカリ】
中古品でも積極的に購入したいと考えている人が多いフリマアプリで出品すれば、遺品もスムーズに売って片付けられるでしょう。 ただし、フリマアプリで購入されたあとは発送時の梱包や発送など、いくつかの手続きが必要になります。 また、購入者が現れないかぎりは遺品を手放せません。 筆者も普段からフリマアプリを利用していますが、今すぐ売りたい物にまったく買い手がつかず、反対に出品したまま放置していた物に購入希望者が現れたという経験が頻繁にあります。 いつ売却できるかわからないため、急ぎで不用品を片付けたい方には不向きな方法かもしれません。
リサイクルショップで売る場合
リサイクルショップで遺品を売れば、持ち込んだ当日に買取金を受け取れます。 しかし、リサイクルショップの買取価格は比較的安価な傾向があります。 また、状態が悪い物や、新品同様でも中古市場で需要がない物は買取を断られる可能性もあるため、想像よりも買取価格がつく遺品は少ないかもしれません。
メリットとして、たとえ値段が付かない物でも一緒に引き取ってくれるショップもありますので、早く片付けたい方におすすめです。
専門業者に依頼する場合
遺品整理業者では、遺品の回収とあわせて買取査定も行っている場合があります。 一つの業者で仕分けと回収、買取査定をまとめて行ってくれるため、手間や時間がかかりません。 大量の遺品から価値がある物だけを買い取ってほしい場合は、遺品整理業者にまとめて依頼したほうが労力を掛けずに片付けられるでしょう。
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遺品を売る際の注意点は?
故人の遺志を確認する
故人が生前に特定の物を誰かに譲りたいと希望していた場合、その遺志を尊重して渡してあげましょう。 また、高価な遺品を売ると相続税が発生する場合があります。 無断で売ったり、譲ったりをしてトラブルを発生させないよう、遺族の遺志も確認しておきましょう。
デジタル遺品は売却前にデータを削除する
スマートフォン、タブレットを中心とした消費者動向や市場調査を無料公開しているMMD研究所では、デジタル遺品整理実施経験者、実施予定者238人に「デジタル遺品に関する調査」が実施されました。 20歳~79歳の男女4849人にデジタル遺品整理の実施について聞いたところ、故人のデジタル遺品整理を行う予定はないと回答した人が91.2%と発表されました。
参照:【「自身のデジタル遺品整理、行ったことがあるのは20代が最多 40~70代の実施経験率は2.0%以下 「デジタル遺品」の言葉の認知度は23.6%」MMD研究所】
スマートフォンやパソコンなどのデジタル遺品にはクレジットカードの番号や電話番号などの個人情報が残されている場合があります。 そのまま売ると悪用される恐れがあるため、必ずデータを削除しましょう。
無理に遺品を売る必要はない
遺品によっては物の価値以上に大切な思い出がある物が含まれているかもしれません。
思い出がある遺品はたとえ高い価値を持っていたとしても、無理に売る必要はありません。
買取業者から高い買取価格を提示されたり、少しでも遺品を減らして片付けたい気持ちばかりが高まってしまいますが、思い出は二度と手に入らないため慎重に行うべきです。 ご自身の感情を尊重し、後悔が残らないように遺品を売りましょう。
まとめ
故人の遺品を売るのは不謹慎ではないか、と悩むのは当然です。 気持ちにひと段落がつき、落ち着いて遺品を仕分けられるころになったら、フリマアプリやリサイクルショップなど、ご自身にとって適した手段で遺品を売ってみましょう。 どの遺品を売ればいいのかわからない場合は、遺品整理の専門家が在籍する遺品整理業者に相談しましょう。