生前整理を始めようとしたけれど「やり方がわからない」「時間が取れない」などの悩みにぶつかった、または「実際にやってみたけれど途中で挫折した」という人は案外多いのではないでしょうか。
そのような状態を打開するためには、専門家のサポートを受けるのもひとつの方法です。
このコラムでは生前整理を業者に依頼した際にどのようなサポートが受けられるのか、費用相場はどれくらいか、自力で行なう場合と業者に依頼する場合のメリット・デメリットについてなどを詳しくご紹介いたします。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
生前整理とは
生前整理とは、自分の将来や死後を見据えて身の回りの整理を行うことで、その作業内容は荷物の仕分け、不用品の処分、資産の棚卸と見直し、エンディングノートや遺言書の作成など多岐に渡ります。
残される家族や親族への精神的・体力的な負担を減らし、親族間での無用な揉め事を未然に防ぐとともに、自分自身の人生を振り返り、今後の生活をより快適に心配事なく過ごせるようにするための活動でもあります。
ほんの十数年前までは、自分や親の死後に備えることに対して「縁起でもない」とタブー視される傾向がありましたが、現在では今を生きる人たちのためでもある建設的で前向きなものとして捉えられるようになり、生前整理に取り組む人は増加しています。
40代以上の男女300名を対象に行われた調査によると、59%の人が「生前整理をしたことがある」と回答。
さらに79%の人が「今後生前整理を行う予定がある」と答えていて、生前整理への関心が高まっていることが伺えます。
*関連サイト
【40代以上の300名に聞いた!】生前整理で最も苦労したのは断捨離?!(株式会社林商会:2021年)
”自分でor業者に依頼”それぞれのメリット・デメリット
生前整理は「判断力」「決断力」「体力」が求められるうえに、相続や遺言書の書き方などの知識も必要になります。
この章では、生前整理を自分でする場合と業者に依頼する場合のメリット・デメリットをリストアップします。
自分で生前整理する
メリット
・必要最低限の費用ですむ
・他人に私物を見られることがない
デメリット
・時間がかかる
・想像以上に体力がいる
・荷物の要不要の判断が難しい
・思い出の品につい手が止まりなかなか進まない
・家具や家電など重たい物を処分するのが困難
・自治体回収されない不用品の処分が困難
・生前整理のやり方、相続や遺言書のことが分からず作業が中途半端になってしまうことも
生前整理業者を利用する
メリット
・短時間でできる
・依頼通りに作業を完遂してくれる
・生前整理の進め方や困り事を相談できる
・仕分けから処分まで任せられるので手間要らず
・生前整理に伴う各種手続きのサポートや関連サービスが受けられる
・不用品買取との併用でお得に処分できる
デメリット
・自分でするよりも費用が掛かる
・業者選びに時間が掛かる
・他人に私物を見られる、触れられることに抵抗がある人にとってはストレス
・悪質業者や実力の伴わない業者に依頼してしまいトラブルになることがある
時間をかけて自力で行うこともできますが、忙しくて時間が取れない方や体力的に難しい方、専門家に相談したい方には生前整理業者の利用がおすすめです。
生前整理ですること、業者に頼めること
生前整理で行うのは大きくわけて「所有物の整理」「情報の整理」「心の整理」の3つです。
所有物の整理では、身の回りの荷物の整理と不用品の処分を行います。
情報の整理では、相続や財産にかかわるものを整理し、残される家族や親族に自分の意思を伝えられるように遺言書やエンディングノートを作成します。
心の整理では、今後の人生や人間関係を見直したり、家族間で価値観を共有したりします。
生前整理で行う作業をわかりやすく表にまとめました。
生前整理業者が対応できるかできないかについても記載していますのでご参考にしてください。
生前整理ですること | 内容 | 生前整理業者が対応可能なもの |
家財の整理 | 家財、衣類、趣味の品などすべての品の整理整頓 | 〇 |
財産の整理 | 財産の棚卸を行い、整理や生前贈与などを行う | × |
不用品の処分 | 不用品や粗大ゴミを処分する | 〇 |
デジタル情報の整理 | SNSアカウント、ネット銀行やFXなどの口座、月額サービスなどの把握と整理 | △(業者によって対応可能なところも) |
エンディングノートの作成 | 自身の個人情報や健康関連の情報、延命治療・介護・葬儀に関する希望、家族へのメッセージなどをノートに綴る | ×(アドバイスは受けられることも) |
財産目録の作成 | 棚卸した財産の一覧を作成する | 〇 |
遺言書の作成 | 法律で定められた形式に則り、相続などについて自身の意思を明確に記し作成する | 〇 |
人間関係の整理 | 自分にとって大切な人との時間を充実させるために不要な人間関係を見直す | ×(アドバイスは受けられることも) |
ご覧のように、生前整理業者では生前整理作業のほとんどに対応してくれます。
トータルサポートはもちろん、「家財の整理だけ」「不用品の処分まで」というように部分的に依頼することもできるので、要望を伝えて相談してみると良いでしょう。
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業者に依頼した場合の費用相場と節約のコツ
生前整理の料金は、作業を行う範囲(間取り)、荷物量、どこまでのサポートを希望するかなどによって変動します。
こちらでは間取りを基準にした生前整理業者の費用相場をご紹介しますので目安にしてください。
費用相場
間取り | 費用相場 | 所要時間 |
---|---|---|
1K・1R | 30,000円~ | 1~3時間 |
1LDK | 70,000円~ | 2~6時間 |
2LDK | 120,000円~ | 3~8時間 |
3LDK | 170,000円~ | 5~12時間 |
節約のコツ
できることは自分でする
自分で判断できる物は仕分けし、処分も進めておくことで業者に任せる作業量を減らす。
不要なオプションは付けない
業者によってはハウスクリーニングやリフォームなどの関連サービスを行っているところも。
必要な場合は良いが、わざわざする必要のないオプションは付けない。
複数社で相見積もりする
自分の依頼内容の相場がわかるとともに、不当な高額請求などの被害に遭う確率を減らせる。
何でもかんでも任せたり、オプションをどんどん増やせば費用は当然高額になります。
業者選定でひと手間掛ける、できることは自分で行なう、など少しの工夫で節約は叶うのでやってみてください。
生前整理をする際の注意点
生前整理をスムーズに行うためのポイント
生前整理を始めたことを家族に伝えておく
家族間で価値観を共有出来たり、自分以外の家族が生前整理を始めるきっかけになることも。
普段から必要な物だけを手元に置くように心掛ける
不要な物を溜めない、シンプルで快適な環境を保つよう意識しましょう。
定期的に見直す
優先順位や価値観は変わることもあります。
年末年始や自身の誕生日など、日を決めて定期的に見直すようにしましょう。
楽しんで前向きに取り組む
生前整理をすることで、自分の生活が快適になり、将来への不安が減るのだと思うと前向きに取り組めるのではないでしょうか。
悪質な業者に注意!
法外な高額請求、貴重品の盗難、不用品の不法投棄など、悪質な業者によるトラブル被害が相次いで報告されています。
被害に遭わないためにも以下の5つをしっかりと確認しましょう。
ホームページに会社概要や実績が記載されているか
簡素なホームページは、すぐに消して証拠隠滅できるため、悪質業者の可能性があるのです。
許可証や資格の有無を確認
一般廃棄物収集運搬業許可証、古物商許可証、生前整理アドバイザー、遺品整理士、整理収納アドバイザーなど。
複数社で相見積もりをする
見積もりが不明朗、他社と比べて高すぎる、または安すぎる業者は避けるのが無難です。
スタッフの対応
連絡が極端に遅い、質問に明確に答えてくれない、説明が二転三転する、といった場合は依頼を見送ったほうが良いでしょう。
口コミ、利用者の声
実際の現場写真が載っている、コメント・評価に極端な偏りがないなど、信憑性がある口コミを参考にしましょう。
より詳しく生前整理業者の選び方を知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
*関連コラム
知っておきたい生前整理業者の選び方や費用を安くするコツ
まとめ
生前整理業者は、生前整理に必要な知識を幅広く有しており、仕分けや不用品の処分はもちろん、相続や遺言についての相談もできるので、やり方がわからない人や忙しい人にとって非常に頼もしい存在です。
自分で生前整理を行うことに比べると費用は掛かってしまいますが、自力では難しい部分だけサポートを依頼するなどして費用を抑えることも可能です。
自身の状況や要望なども加味して、業者へ依頼するのか自分で行なうのかを検討し、納得できる方法で生前整理を進めてください。
生前整理を始めるのに年齢は関係ありませんし、体力や判断力、決断力の面から考えても、今が最適な始め時だと筆者は思います。
自分でする、業者へ依頼する、どちらの場合でも、まずはできることから始めてみてはいかがでしょうか。
最後に、自力で生前整理を進めてみようという方におすすめのコラムをご紹介します。
*関連コラム
親子で一緒に生前整理を始めよう!親の説得方法と片付けのやり方
やり方がわかれば大丈夫!生前整理のつらい作業を手際よく進める方法