「遺品整理は時間がかかりそうだから、しばらく放っておこう」と考えている人はいませんか?
遺品整理は労力のかかる大変な作業ですので、都合が良いときに行いたいと思うのは誰もが共通することでしょう。
しかしながら、先延ばしにすると犯罪や災害に巻き込まれたり、親族間のいさかいの原因になったりするなどの思いもしなかったリスクやトラブルが発生する可能性もあります。
これらのトラブルを回避するためには、考えうるリスクを把握し、事前に対策を講じることが重要です。
この記事をおすすめする方
・遺品整理を検討しているがなかなか進められない方
・遺品整理をしない場合のリスクを知りたい方
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
遺品整理は必ずしないといけないの?
遺品整理とは、故人が生前に使っていた身の回り品や趣味の品物などを片付けて整理する作業です。
四十九日の法要後など、親族が集まりやすく区切りのいい機会に行うのが一般的ですが、特にいつまでに終わらせておかなければならないという期限は設けられていません。
遺品整理は時間と手間のかかる作業なので、「本当に必要なの?」「面倒なので急いでしなくてもいいんじゃないか」と考える人もいるでしょう。
確かに遺品整理は義務ではありません。
しかし、遺品整理をしないまま放置していると様々な問題が発生し、大きなトラブルに発展する危険があります。
始める時期に決まりはありませんが、リスクを回避するためにも、それぞれ適したタイミングで少しずつ進めるのがベストです。
それにしても、大きなトラブルってなに?と身構えますよね。
遺品整理を後回しにした場合に起こりうる問題について次章で詳しく解説しますので、一緒に見ていきましょう。
遺品整理をしない場合のリスク
遺品整理をしなければ、どのようなリスクがあるのでしょうか。
指摘されて初めて気がつく意外な盲点に要注意です!
①故人が契約していたサービスの料金を払い続けることになる
故人が生前に利用していたサービスは、亡くなった後に解約手続きが必要です。
有料サービスの場合は料金が発生し続けるため、いつまでも費用を払い続けなければいけません。
以前なら郵便で請求書が届いていたため、遺族も故人が利用しているサービスを把握しやすかったと思います。
しかし、現在ではメールやSNSによる請求金額の通知が主流なので、遺品整理をして預金通帳や契約書類、クレジットカードの利用履歴などを遺族が確認しない限り、故人がどのようなサービスを利用していたかわからないかもしれません。
*遺品整理をしなかった場合に払い続ける費用とは
・家賃(賃貸物件)
*退去するということは持ち物を整理しなければなりません。つまり遺品整理を行う必要があります。
・電気・ガス・水道
・動画配信サービス
・新聞などの定期購読品
中でも動画や音楽配信サービスのようなサブスクリプションサービスは自宅に荷物が届くわけではないため、遺族が気づかないまま費用がずっと発生し続けていることがあります。
②犯罪や災害に巻き込まれる危険がある
遺品整理をしないまま空き家状態で放置していると、住居侵入や放火などの犯罪に巻き込まれる可能性も否定できません。
さらに、地震や台風などの自然災害が発生すると、割れたガラスや屋根瓦で通行人にケガを負わせるようなことも。
手つかずのまま放置された空き家は老朽化が進み、一般的な住宅に比べて自然災害に巻き込まれたり、犯罪の温床として利用されたりするリスクが高いと考えられます。
万が一、自然発火や放火で隣家まで燃えてしまった場合は、家の持ち主が責任を問われることもあります。
物が多いとその分延焼しやすいため、空き家を長い間放置するのはやめましょう。
③親族とトラブルになる
遺品整理をしない状態が長期間続くと、遺族の誰かが遺品や貴重品を勝手に持ち出したり、処分してしまったりするようなことが起こらないとも限りません。
遺品整理は感情的な作業なので、遺族間で異なる思い出や価値観が絡むことがあります。
整理を後回しにすることで、物の分配や処分に関する意見の食い違いが生じて、遺族間の対立を招いてしまうようなケースも少なくありません。
こうしたトラブルが起きないように、遺族が一堂に会する法要などの機会に、遺品整理の進め方やスケジュールについて話し合いをしておきましょう。
遺品整理で起こりうるトラブルを未然に防ぐには
遺品整理をしないことが様々なトラブルを引き起こす可能性があることは確かです。
こうしたトラブルが起きないようにするためにも、故人と遺族の双方が遺品整理の準備をしておくことは非常に効果的です。
①遺言書を作成しておく
遺言書を作成しておくことは、遺品整理や相続手続きを円滑に進めるうえで非常に重要です。
財産の処分や相続について正式に書き記しておけば、遺族間のトラブルを回避できます。
*遺言書を作成するメリット
・財産分与を明確化できる
・遺族が円満な関係を築くことができる
・法的効力を確保できる
遺言書を作成する場合は、信頼できる法律の専門家や弁護士に相談することをおすすめします。
遺言書の作成方法や内容について適切なアドバイスを受けることで、故人の意志を正確に反映した遺言書を作成することができます。
②エンディングノートを活用する
エンディングノートとは、万が一に備えて思いや希望を書き留めておくノートです。
生前にやり残したことや思い出、貴重な情報を記録しておくための手がかりとなります。
遺言書のように法的効力はありませんが、遺族が困らないために、また死後に故人の希望に沿って遺品整理をしてもらうためにも、エンディングノートの活用をおすすめします。
*エンディングノートの活用方法
・故人の財産などの貴重な情報を記録しておく
・最期の希望や財産の処理などの意志を伝える
・故人の意思を尊重して遺品整理を進めてもらう
・家族や友人へのメッセージを書き記しておく
③遺品整理は必ず遺族間で話し合ってから始める
遺品整理は時間や労力がかかる作業のため、進んで始めることが難しい場合もあります。
しかし、遺品を整理せずそのままま放置していると、誰かが勝手に価値のありそうな品物を持ち帰ったり、処分したりするなどのリスクが伴います。
そのため、誰が主体となり、いつから始めるか、形見分けはどうするかなどを遺族間でしっかりと話し合い、互いの認識を共有しておくことが大切です。
*話し合いのポイント
・主体となる人を決定する
・開始時期を決定する
・形見分けの方法を決定する
・遺品の保管や処分の方法を決定する
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これは無視できない!遺品整理で特に注意が必要なこと
①持ち家の場合も遺品整理を行う
故人が賃貸住宅に住んでいた場合は、退去手続きをしなければならないため遺品整理を急いで行わなければなりませんが、持ち家の場合はどうなのでしょうか。
急ぐ必要はないので、しばらくはそのまま放置していてもいいと考える人もいらっしゃるかもしれませんね。
実は、持ち家だからといって放置していいわけではありません。
管理不十分な空き家があると、周辺の住環境が悪化したり、家屋の倒壊や火災が起こったりする危険性が高まります。
こうした空き家は自治体によって「特定空き家」に指定される場合があります。
特定空き家とは、放置するのが不適切な空き家のことです。
もし指定されれば、固定資産税が最大6倍にもなります。
自治体から指導が入った後に改善が見られた場合は特定空き家から解除されますが、何もせずに放置し続けると罰金が科せられることもあります。
遺品整理をしていない家を放置しても不要な支払いが増えるだけなので、持ち家だからといって遺品整理を先延ばしするのはやめましょう。
②相続税がかかるものは申告しなければならない
預貯金、貸付金、有価証券、生命保険、死亡退職金、貴金属、自動車、骨董品のように金銭的に見積もることができるものには、相続税がかかります。
相続税の申告・納付の期限は、故人の死亡を知った日の翌日から10カ月以内です。
期限を過ぎると控除が受けられなくなり、延滞税がかかることもあります。
遺品整理をするときのポイント
①本当に必要な物だけを残す
故人との思い出が詰まった物を手放すのは胸が痛むでしょう。
しかし、気持ちをしっかりと整理するためにも、本当に必要な物以外は手放す方向で整理するのが充実した遺品整理を行うポイントといえます。
遺族は故人の遺品を注意深く見直し、必要な物と不要な物を明確に区別する必要があります。
必要な物は、故人の思い出や価値がある品物、日常生活で利用される物などです。
一方、不要な物は、使用されていない物や価値のない物などです。
遺品整理を通じて、遺族は故人との思い出を振り返り、故人の意志を尊重しながら、必要な物だけを残すことができます。
②手続きを済ませる
遺品整理をする際に「手続きを済ませる」とは、法的な手続きや重要な手続きを行うことを指します。
これらの手続きを適切に行うことで、遺産整理を円滑に進めることができます。
また、法的な手続きを適切に行うことで、遺産分割や財産の処理に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
下記の手続きを先に進めましょう。
・死亡届の提出
・電気、ガス、水道などライフラインの停止
・保険金、年金の手続き
その後、必要な場合は、相続の手続き、遺言書の確認、公正証書遺言の手続き、相続税の申告を行います。
③遺族で話し合う
遺族で話し合うことは、遺品整理を円滑に進めるために非常に重要です。
遺族間でのコミュニケーションを通じて、意思の共有や協力体制の確立が図られます。
もし遺言書があれば、記載されている通りに進めます。
遺言書に遺産の分配について記されていない場合は、遺族でしっかりと話し合う必要があります。
自分には不要な物でも他の遺族にとっては大切な物かもしれませんので、話し合って遺品整理の進め方を決めましょう。
*遺族で話し合う際のポイント
・作業の分担と役割分担
・故人との思い出や遺品整理に関する個々の感情を理解して尊重する
・遺品の整理方法や処分方針を確認する
・遺産分与や相続について話し合う
④遺品整理業者を利用する
処分する遺品が多かったり、貴重品を探してもらったりしたい場合は、遺品整理業者に依頼しましょう。
遺品の買取や供養、お焚き上げなどにも対応してくれる業者も多く、整理の相談にも乗ってもらえます。
業者は使える遺品があれば廃棄処分せず、リユースやリサイクルを行い活用しています。
むやみに処分せず資源や必要としている人に役立ててもらえるのであれば、故人もきっとお喜びになるでしょう。
また、遺族が遺品整理で大きな負担を負わないように、生前整理を行う人も最近は非常に増えています。
アドバイスが必要な人は、遺品整理業者や整理収納アドバイザーにぜひ相談してみましょう。
遺品整理業者は全国にありますが、どこに相談すればいいのか迷ってしまいますよね。
優良な業者に依頼するように気をつけましょう!
まとめ
遺品整理をしない場合のリスクについて説明しました。
遺品整理をしないと不要な費用がかかったり、想定外のトラブルや犯罪に巻き込まれる可能性も否定できません。
どのようなリスクがあり、回避するためにはどうすればいいかご理解いただけたと思います。
遺品整理は先延ばしせず、できるうちに早く終わらせましょう。